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MarkeZine Day 2016 Autumn レポート

マーケターが知っておくべき人工知能・機械学習の“踏み込んだ”真実~マーケティング活用に必要な知識とは

「しゃべってコンシェル」に見る、現実的な活用方法

 それでは、人工知能をどのようにマーケティングで活用すべきなのだろうか。高木教授は一例として、NTTドコモの対話システム「しゃべってコンシェル」を挙げた。

出典:『しゃべってコンシェルと言語処理』、吉村健(下記URLクリックでPDFダウンロード)
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=86127&file_id=1&file_no=1

 誰かに「佐藤さんにメールして」と頼まれたとき、人間は佐藤さんにメールすることが求められていると常識的に理解できるはずだ。これと同様に、しゃべってコンシェルも話し相手の意図を解釈できる。

 「佐藤さんにメールして」と頼まれると、しゃべってコンシェルは実際にメーラーを起動し、佐藤さんにメールを送る。また、「日本で一番高い山はどこですか」と聞かれると、山地の固有名詞を答えなければいけないと認識。すべての山の標高をネットに調べに行き、その中で一番高いものを答える。つまり、聞かれた内容に対応して、メーラーの起動や情報検索など、対処を変えているのだ。

 しゃべってコンシェルでも機械学習は部分的に使われており、回答するときの様々な言い回しを習得しているという。この事例のポイントは「部分的に」というところで、しゃべってコンシェルの柔軟な対応は、人の対話能力を様々な形で模倣することによって実現しているようだ。また、「マーケティングシステムの対人親和性を向上させるには、このしゃべってコンシェルのような対話機能が必要になってくる」と高木氏は語る。

人工知能をマーケティングに活用する際の心構え

 人工知能の活用例について説明し終えた高木教授は、「機械学習や人工知能が解決してくれる、という考えは改めた方がいいと思います」と語り、人工知能をマーケティングに転用する際の心構えを述べた。

 先述したように、機械学習だけでは複雑な問題を処理できない。機械学習などの手法ありきで考えると、実現できることが限られてしまう。マーケティングに利用する際は、顧客志向でニーズを正しく理解することからスタートし、その対応策として必要に応じて人工知能を導入すべき。その実現のための一手法として、必要に応じて機械学習を使うのが望ましいという。

 「ニーズからスタートすると、どこでどのように人工知能を活用すべきかが明確になります。そこから工夫が生まれます」(高木教授)

 ここまで人工知能をマーケティングで活用する際の心構えを語ってくれた高木教授は、最後に「人工知能の体系全体を理解し、今の技術でできることを正しく認識しましょう。その上で、自分の課題が実現可能な範囲にあるのか、研究期間を要するのか、どの程度のリスクがあるのかなどを考え、知能化のゴールを決めてほしいと思います」と語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

辻村 祐揮(ツジムラ ユウキ)

 1988年生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業後、フリーランスのライター/エディターとして生計を立てることを志す。現在は主に製造業関連のニュース記事作成を請け負っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/10/31 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25424

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