三方よしのデータ活用は進むか
3点目は2点目と連動するが、サードパーティのデータ提供業者が合法的に活躍していること。日本では、一部の人から名簿屋などと揶揄されているが、海外では個人情報に関する法律にのっとり、その上でデータ提供をする企業が存在している。

今回の視察で面白かったのは、音楽認識ができるアプリを提供するShazamの取り組みだ。同社では、アプリダウンロード時に許可を取った上で、消費者のアプリ利用時の音を蓄積して活用している。
これまで個人情報の収集というと、とにかく既存リストを集め、氏名や住所、年齢、職業などのデータが多かった。しかし、こうしたアプリ経由のものは、個人情報は匿名のまま、属性と趣向、傾向が主観的な入力情報ではなく、実際の生活から吸い上げられて分析され、各社に提供されている。提供している消費者自身も、アプリのレコメンドなどでメリットを享受している。
こうした“三方よし”のデータ活用・提供が日本でもきちんと進んでいくと、広告代理店やクライアントのデザイナー、データアナリスト、ツールベンダーの役割がより明確になって、面白いマーケティングができると思う。
あとがき
今回は小売りや広告代理店、コンサルティング会社など様々な企業のメンバーと一緒に参加したことで、多くの意見を交わしたり、感想を共有したりする時間が持てた。そのため、画一的なアドテクノロジー、マーケティング論ではなく幅広い捉え方ができた。
個人や企業内ではなく、様々なメンバーが集まったツアーに参加する意義があった。今後も継続して、小売りと消費者の視点からマーケティングを理解し活用する良いきっかけになった。
今回ツアーを一緒に旅した、エスワンオーインタラクティブ高瀬社長、アンダス前田社長、IMJ田中部長、ナノベーション中野社長、オプト栗山部長、飯高部長、そしてコーディネートと通訳をして頂いたdigital media織田(おりた)氏、主催のコムエクスポジウムジャパン武富社長、眞鍋氏へ最後に感謝を述べたい。