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イベントレポート

オムニチャネル最先端企業「一番の効果は社内と店舗の理解を得られたこと」


チャットで買い物コストを削減し、生産性も向上

安達:オムニチャネルというとユーザー体験の話になるかと思っていましたが、お二人とも社内改革の意識が強かったんですね。中澤さんはいかがですか?

中澤:当社が狙っている効果は二つありまして、ユーザー的には買い物コストの削減。社内的には生産性の向上です。この二つをどう両立させられるかですね。

 当社は基本的に店舗でコンバージョンする形のモデルなのですが、お客様に話を伺うと、ネットで車を探したけれどよくわからなかったため来店されているケースが多かったんです。車を探すことや選ぶことは、非常に労力がかかるコストなんですね。そこにオンラインのチャットコミュニケーションを行うことで、お客様は自分で検索する必要がなくなり、心理的なコストが低くなるんです。

 そして同時に、社内の生産性も向上します。現在Webサイトからの導線は、申し込みフォームに記載いただいて当社からお電話を差し上げる形と、チャットで対応する形の二つがあります。これらの最終的な受注率を比較すると、チャットが電話の2倍にもなるんです。チャットの導入から8ヵ月かかってやっとここまで来たのですが、受注率が2倍になるということは、生産性が2倍になるということなので非常に重要です。また、チャットはクレームがほとんど発生せず、満足度が高いことも大きなメリットとなりました。

 さらにもう一つ大きかったのは、店舗での接客時間を短縮できるという点です。チャットで事前に十分なコミュニケーションを行うことで、ケースにもよりますが、店頭での接客時間が4分の1にまで短縮できる例もでてきました。チャットでは同時に複数人数の対応が可能ですが、店頭では営業マンがマンツーマンでお客様に対応しなければならないので、これは大きな生産性の向上に繋がります。

各社のチャットの捉え方

安達:8ヵ月というのは、オペレーターの教育にかかった時間でしょうか。

中澤:実際にやってみてわかったことなのですが、チャットでのオンラインコミュニケーションは、店頭での接客とはまったく異なります。ただしチャットの場合はログが取れるので、科学的な分析と組織的なPDCAを回せるんです。開始当初から比べるとKGIが約10倍に上がっているのですが、PDCAをものすごい勢いで回し続けて、ここまで来るために8ヵ月かかったという状況ですね。

奥谷:私はオイシックスもチャットをやるべきだと思っています。ベテラン社員や主婦の方は、オイシックスの買い物は孤独だと言います。ネットでただものを買っても、おもしろくないんですよね。オイシックスは今、違うアプローチとしてパーソナライズをアルゴリズムを組んで進めようとしています。まずはキャラをたてて「今週のおすすめはこれです」という程度からパーソナライズしてアプローチしようとしているのですが、最終的にはチャットのほうに行くかなと思っています。

矢嶋:当社もFlipdeskの機能を使ってチャットを試したことが3度ほどあります。「父の日のギフトに関するチャットを受け付けます」というように限定的に対応したのですが、EC担当者の7、8割は店舗出身者なので、経験者は店舗時代を思い出しながら接客してくれました。

 もともとECの担当者には「我々は販売員だから」と伝えています。内勤だからどうだというのではなく、いつでも店頭で接客できるくらいの心意気で仕事をしてほしいと言っているのですが、みんな相談したり、工夫しつつも楽しんでいた印象があります。

 今後、もしかしたらこのような部分がすべてAIに取って代わられるのかもしれません。しかし私は、モニターの向こうのお客様に接客をするという想いでECサイトを運営してきています。テクノロジーは進化すると思いますが、アナログな部分も含めてどちらもやっていきたいと思っています。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/02/27 15:51 https://markezine.jp/article/detail/26024

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