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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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イベントレポート

オムニチャネル最先端企業「一番の効果は社内と店舗の理解を得られたこと」


実店舗をやることがオムニチャネル戦略ではない

安達:オイシックスの場合はいかがでしょうか。

奥谷:オイシックスは、基本的にはネット上で完結する会社です。ネットならではだと思いますが、獲得が大好きでリテンションが苦手です。確かにオイシックスは美味しいし安全ですが、美味しさの指数が今後5年間上がり続けるということはありません。また、生ものなので配送業者とのやり取りで傷んでしまうこともまれにあります。体験がアナログなので、そこをマネジメントできていないのがすごく難しいですね。

 私はいわゆる実店舗をやることだけが、オイシックスのオムニチャネル戦略ではないと思っています。Brick Business 3.0と呼んでいるのですが、鮮度が管理された冷蔵庫に商品が保管されていて電子決済で買って帰れるような仕組みを作る、移動販売を行いその接近をプッシュ通知で教える、IoTロッカーを使って物流問題を解決する、といったことを行わなければなりません。店舗も展開していますしこれからも挑戦し続けますが、それよりも早い道があるのではないかと思っています。

ビームスはスタッフの個性をコンテンツに

矢嶋:ビームスは原宿の小さな店から始まった会社なので、思想は実店舗ありきです。10年以上前に私がECを始めた時は、社内でも孤立した状態でした。ただ、私は当時から自社ECをやることで得られるものが三つあると言い続けていて、一つめは売上を獲得できること。これはECなので当然ですね。二つめは情報発信のメディアになれること。洋服の一点一点に至るまで、詳細を語ることができます。そして三つめが、自社の顧客のデータがログとして持てること。これをもとにCRMをやりましょうということでした。

 どれだけZOZOTOWNなどのECモールで販売していても、当然ですが顧客情報はわかりません。売上予算が達成できるようになり、社内のECに対する雰囲気が変わってきたものの、それだけではだめだと考え自社ECを進めてきました。社内ではECも大事だとわかってくれてはいるものの、あくまでも売上が取れるツールだと思われています。私は、自社ECはお客様と繋がるための接点だと思っているので、それを浸透させるためにもオムニチャネルを行っています。

 ただ、オムニチャネル化を進める際、在庫の部分を先に進めるべきだとわかっていましたが難易度が高く、先にスタッフを巻き込んだ施策を行いました。スタッフを巻き込んだのは理由があるのですが、当社のスタッフは個性が強いので、彼ら自身が情報を出せば、十分コンテンツになるのです。先にコンテンツ力でお客様に「ビームスってこういうキャラクターの会社か」と知っていただければ、洋服を販売することにも説得力が増すと思っていたんです。

 また、将来的にはリアル店舗とECの評価を繋げたいとも思っています。もうEC売上だ店舗売上だと争っている場合ではなく、補完し合う方向がオムニチャネル化で狙っている目的です。

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チャットで買い物コストを削減し、生産性も向上

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/02/27 15:51 https://markezine.jp/article/detail/26024

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