アプリ活用の取り組みはもはや先進的ではない時代
日本で初めて「iPhone 3G」が発売されてから今年で9年目。
消費者のスマートフォン利用におけるスマートフォンサイト(ブラウザ)とアプリの滞在時間を比較すると、ライトユーザーかヘビーユーザーかに関わらずアプリを使う時間のほうが長いという結果も出ており、モバイル時代の主役がアプリであるということはすでに多くの企業がお気づきの事実です。
こうした背景を受け、自社ビジネスにアプリを活用したい、もしくはすでに活用している企業もここ数年で増加しました。スマートフォンが市場に出てきた当時と比べアプリを開発するハードルが下がっていることもあり、今やBtoC企業においても自社でアプリを運用している例は珍しくありません。アプリを活用して自社ビジネスの収益を上げているのは、もはやIT企業や先進的な取り組みをしているBtoC企業だけではないのです。
小売や百貨店といった業界を中心に、アプリが売上の一部を担っているケースも増えており、売上全体に占めるアプリ関連の売上は今後さらに増加するでしょう。
アプリ開発・運用の現場でよく見られる失敗
しかしながら、自社ビジネスとの親和性やアプリならではのメリットを十分に考慮せずに開発されたアプリも多いのが現状です。
弊社ではこれまでに小売や不動産、製薬、出版、人材など様々な業界が提供するアプリのリニューアルや収益改善を支援してきましたが、クライアントのアプリに関するヒアリングを行っていくと下記のようなケースがしばしばあります。
例1.アプリならではの価値がない
一つ目はアプリならではの価値を提供できていないといった例です。
多少使い勝手が良いというだけでは、すでにオフラインやWebサイトであなたのサービスを利用している層もアプリに乗り換えてはくれません。
たとえば、元々運営していたECサイトをアプリ化できるサービスなどを利用し、機能やデザインをまったく変えずアプリを提供しているケースがよく見られます。しかし、これだけではアプリで大きく売上を伸ばすことはできないでしょう。
例2.自社事業とのシナジーを考慮していない
自社の新規事業としてアプリの開発や運用に取り組んでいる方も多いかとは思いますが、既存事業とまったく親和性のないアプリでは成功は望めません。
たとえば小売企業が自社のキャラクターを用いてゲームアプリを作る例などが挙げられますが、こうしたアプリは多少利用されることはあっても自社の収益に大きく貢献するアプリにはならないでしょう。
例3.提供している機能が多すぎる
自社事業とのシナジーやアプリで中長期に実現したいことを見据えるあまり、アプリに機能を詰め込みすぎてしまうというのもよくある問題です。アプリを利用するユーザーは何かしらの目的を持ってそのアプリをインストールしているので、ユーザーに必要とされている機能以外は実装しないか、別のアプリとして提供するべきでしょう。