ポイントは、生活者が“語りたい”と思えるかどうか
ここまでエンゲージメント数を指標に、2017年1月のニュースを分析してきました。今回の分析でわかったことは、「エンゲージメントを獲得するコンテンツには、生活者のオピニオンを呼び覚ます性質がある」ということです。
エンゲージメントとは、生活者がソーシャルメディアを通じて“能動的なアクションとして自らの意見(=オピニオン)を語る”行動です。裏を返せば、エンゲージメントされるコンテンツを作りたいと考えるなら、そうした行動を喚起する要素をコンテンツのなかにしっかりと持たせることが非常に重要だということです。
前述したように、いわゆる芸能人のゴシップネタのようなニュースは、メディアでの露出量が非常に多く、一見話題になりやすそうです。にもかかわらず、エンゲージメント数がそこまで伸びないのは、わざわざ生活者がソーシャルメディアを通じて能動的に語りたくなるような話題ではないということを示しています。反対に、社会問題や影響力のあるオピニオンリーダーによる発言など、誰もが意見を述べたくなるようなニュース(コンテンツ)がシェア拡散されていくのです。
スマートフォン、ソーシャルメディアの普及により、誰もが発信者となり得る時代において、単にファクトを伝えるだけの情報は広がりません。企業でソーシャルメディアを活用する際には、単に自社が伝えたいメッセージをリーチさせようとするのではなく、生活者の行動や意見を喚起するようなコミュニケーションを取ることが重要です。
またソーシャルメディアは、安易に活用することでむしろ企業のブランドを失墜させることがあります。エンゲージメント数を増やすことの本質的な目的をしっかりと認識したうえで、生活者をオピニオンの発信者としてとらえ、彼らの意見や行動を喚起するコミュニケーション設計を意識していくことが、今後ますます大切になっていくのではないでしょうか。