認知度の低い商品をいかに認知させるか
MZ:前回はキリンの位置情報活用について同社の松岡さんに話をお伺いしました(前回記事はこちら)。今回はワコールの北見さんに、前回同様サイバーエージェントで位置情報ソリューション「AIRTRACK」の事業責任者を務める湊さんと鼎談を進めていきたいと思います。まずは北見さんのプロフィールを教えてください。
北見:私はワコールの広報・宣伝部内のWEB・CRM企画課に所属しています。基本的にはEC以外のWebに関わる部分、具体的には、ブランドサイトからキャンペーンサイト、最近ではワコール女子陸上競技部(愛称:スパークエンジェルス)のサイト運営などにも携わっています。
その他にもSNSの全社戦略を考えたり、Webサイトの方針を決めたり、メールマガジンやSNSの文章作成におけるガイドラインを考えることが多いですね。広報やPRのチーム、他部署と連携してWeb上でのコミュニケーションをどう展開すべきかを考えています。
MZ:現在のマーケティング活動の中で、注力している点を教えてください。
北見:注力しているアイテムは、スポーツウェアの「CW-X」、男性用パンツ・インナーの「BROS(ブロス)」ですね。女性用インナーのイメージが強い弊社にとって、認知度の低い商品の認知をどのように広げていくか日々考えています。
施策に関しても、Web全体の導線設計を考えて、複合的に施策を行うことを重視しています。たとえば、複数の流入経路から、どう商品を認知してもらうかを仮説立て、情報設計を行っています。その結果、ECおよび店舗での売り上げ増加を図っています。
キーワードは「きっかけづくり」と「自然な広告」
湊:御社だとSNSも活用していると思うのですが、Web上でのコミュニティづくりとかも意識していますか。
北見:SNSは、コミュニティのような双方向のやり取りを重視しつつ、我々がメッセージを発信するためのメディアの一つとも捉えています。その理由としては、我々の部署が買うきっかけづくりを重視しているからです。
たとえば、テレビで紹介されていたから買った、Webメディアの記事広告を見たから買ったといったきっかけを多く創出する必要があります。一度弊社の商品を着用していただければ、リピーターやファンになってもらえるだけの商品力があると信じているので、そこまで導けるようプランニングをしています。
MZ:広告をきっかけに購買に持っていく上で重要なポイントはありますか。
北見:いかに「自然な広告」にできるかだと思います。ネット広告を展開すると陥りがちなのは、目の前の数字ばかりに追われて、効率を求めてしまう。そうするとそこにストーリー性がなくなってしまうと思います。
Webはテレビに比べて、単独のクリエイティブで購買を促すのは難しいので、SNSやオウンドメディア、広告などさまざまな接点で連続したコミュニケーションを行って、徐々に商品の理解を深めていくストーリーをつくる必要があります。