自動最適化に任せるところ、自分の手で設計するところ
広告を出稿するにあたり、売りたい商品やサービス、それを紹介するためのWebサイトは必ず存在しますよね。そういった商品やサービス、Webサイトを開発制作する中で、「ペルソナ」を立てて進めていく手法が一般的になってきています。
その延長線上として「広告のターゲティングは、綿密にしたほうがいい」という考えを持たれている広告担当者は少なからずいらっしゃると思います。ディスプレイ広告であれば、細かなターゲティングごとの広告グループ設計、検索連動型広告であれば、1キーワード・1広告グループのようなキャンペーン設計などですね。
しかし、感情を変化させることを広告の目的として考えるのであれば、そこまで綿密なターゲティング設計は必要無いのでは、と私は考えています。
年齢や趣味嗜好、検索クエリなどが多少違っていても、ユーザーの現在抱えている感情が同じであれば、広告を出す側が狙った感情に変化させるための必要な情報には大きく違いはありません。
先ほど紹介した3つのバロメーターに照らし合わせると、以下のようになります。
1.「したい!」:ユーザーが描く理想像
2.「しなきゃ!」:現在ユーザーが抱える課題・悩み、それを課題に感じる背景
3.「できそう!」:ユーザーが理想像に近づけない理由・ハードル
この3点が共通したユーザーであれば、比較的同じ訴求方法で高い広告効果を得られます。
「広告を届けたいユーザーがどんな人なのか」よりも「ユーザーの感情をAからBへ変化させたいからAを感じているユーザー群にBを感じやすいシチュエーションで広告配信を行う」という思考でターゲティングを設計すると、配信母数、効率、クリエイティブの考えやすさなどの点で成功しやすくなります。

細かなターゲティング設計による弊害
前項目で「細かなペルソナからターゲティング設計するより、感情をもとにターゲティングしたほうが良い」とお伝えしました。それには「細かなターゲティングによる弊害」が存在することも大きな理由です。
その理由の一例は以下の通りです。
・広告システムの自動最適化が利きにくい
・広告impが少なくなりやすいので、一定のコンバージョン数から増加しづらい
・クリエイティブの最適化や効果検証がしづらい
主要な運用型広告サービスは、広告配信における様々な因子によって、効果の良いユーザーや配信面、時間帯、曜日などに自動で広告配信を強める機能を持っています。
しかし広告担当者の綿密な仮説に基づき、細かなターゲティングをしてしまうと、運用型広告の自動最適機能が「何をどのように最適化すれば良いか」を学習するためのデータが貯まりづらく、機能の有効活用ができないケースが多々あります。
また、広告の自動最適化については、「統計的な有意差をもって広告効果の良し悪しを測る」ことで成り立っているため、細かくターゲティングしすぎてしまうことにより、有意差を測るためのサンプル数が足りず、「この広告はデータが貯まらない悪い広告」だと認識されることも多くあります。
自動最適機能には、得意としている「データをもとに、最適なユーザーを選定し配信を最適化していく」ことは任せてしまい、そのユーザーの感情を変えることに広告担当者は注力をしていくべきなのです。
