GoogleとYahoo!を一括「タグ付け」するディメンション機能を駆使
戦略的運用と工数削減には、Marin Searchの「ディメンション機能」も大きく貢献しているという。ディメンション機能とは、ビジネスゴールや地域、製品カテゴリーなど、あらゆるキャンペーン要素を「タグ付け」して切り分けることが出来るものだ。このディメンションを設定することにより、色々な角度から分析が可能になり、問題が発見でき、そして次の施策に繋げることができる。
「路線ごとに運用を管理するために、ディメンション機能でキーワードを切り分けていきました。Aというキーワードは“関西のバス路線”、Bというキーワードは“関東のバス路線”というようにディメンションを切り分けて、バス路線ごとに効果を確認したり入札戦略を決めたりしています」(玉矢氏)
Googleにもラベル機能という類似した機能があるが、Marin Searchならば一回の操作でYahoo!とGoogleを横断してディメンションを分けることが可能だ。
「普段の運用でも、GoogleとYahoo!両方の管理画面を見る必要がなくなり、一つの管理画面で完結するようになったので、戦略を考える面でもとても楽になりました」(玉矢氏)
広告効果が落ちてきた時点でアラートを出す設定ができることも、属人化排除に貢献している。たとえばツアーであれば、卒業旅行のある3月に比べて4月は広告効果が落ちてくる。3月ならば100人のクリックで5件売上があったのに、4月は100人のクリックが2件の売上にしかならない、ということがありうる。
「季節的な要因による広告効果の低迷に気づけるように、あらかじめ閾値を決めておいて、閾値を下回るとアラートが出るようにしました。アラートが出たら、そのまま出稿を続けるのか、キーワードや入札金額を見直すのか、とるべき対応を社内用マニュアルにまとめました。これも属人的な運用の排除と工数削減につながりました」(玉矢氏)
Marin Searchの導入前は、同じ管理画面を見ていても、運用担当者のスキルによって、対応が必要な状況なのか判断がぶれてしまっていたし、何か異常な事態が発生していないか、たびたび管理画面をチェックするために工数がかかっていたことを思うと、大きな進歩があったという。
「閾値を設定して対応を決め、マニュアル化する」ということがMarin Searchの導入における重要なプロセスだったと玉矢氏は回想する。このプロセスが、属人的な運用の排除と工数削減、運用パフォーマンス向上のすべてにじわじわと効果を発揮していくのだ。
商品カテゴリーごとのROAS目標達成に向け、運用フローを見直す
WILLERがMarin Searchを導入するにあたり、最大のテーマは「属人的運用の排除」だった。そこでWILLERとマリンソフトウェアの両社は、WILLERがこれまでどのような運用方針をとってきて、これからどのような運用プランを築いていきたいのか、様々なケースを想定して徹底的に話し合った。
次の段階として、WILLERが目指すリスティング運用を具体化するために、収益を取り込む仕組みである「マリントラッカー」というトラッキングシステムを導入した。それにより、社内の収益データをMarin Searchに取り込み、ROASに基づく入札が可能になった。ちなみにROAS(Return On Advertising Spend)とは、投資した広告費用の回収率を指す指標だ。広告費1円あたりの売上額を示すもので、この値が大きいほど費用対効果の大きい広告運用だといえる。
さて、ROASという新たな指標を確認できるようになったことをうけ、玉矢氏はマリンソフトウェア小木氏のサポートをうけながら、「まずレポートを出して、こういうときはこのビュー(項目や数字のレポート画面)を見よう、こういった判断のときはこう調整しよう」といったパフォーマンスの確認フローと入札調整のフローを洗い直し、新たに運用上のルールと判断基準を固めた。
「その後、ある程度、運用や判断の基準ができた段階で、カテゴリーごとに自動入札の設定をし、路線ごとの収益性や単価を考慮してROAS目標を設定しました。その後、実際の運用を進めながら弊社とマリンソフトウェアさんでROAS目標をどの程度達成できているかモニタリングし、ROAS目標を適宜調整してきました」(玉矢氏)
ROAS目標によって販売戦略と広告戦略がリンクする
ROAS目標の設定は大変な作業だったが、やりがいがあったと玉矢氏は振り返る。今までのツールでは商品ごとの利益率や売上数をとりこむことができず、ROASをチェックすることができなかったため、全体のCPA(Cost Per Acquisition)で判断していた。
CPAとは、CV1件あたりのコストの指標である。CPAでは5,000円の利益を生む路線も1,000円の利益しか生まない路線も同じCVとしてカウントしてコストを弾き出すので、リスティング広告運用戦略が販売戦略と乖離しがちだった。
しかし、Marin SearchでROASを確認できるようになると、路線ごとの入札戦略を考えて収益の最大化を目指せるようになった。
「たとえば、一人での予約よりも複数名での予約の方が多くの利益を生む事があるので、複数名予約のCVにつながるキーワードにはより多くの広告予算を投入します。ディメンション機能を使って、複数名予約が多そうなワードをグループ分けし、入札金額を高めに設定することができます」(玉矢氏)
同時に、収益性は犠牲にしても中長期的な販売戦略に基づいてプッシュしていく商品に対しては、ROAS目標を低めに設定することで広告を強化することもできるようになった。たとえば、成田シャトルという大崎駅と成田空港をつなぐバスは、単価が1,000円と安く利幅も小さいが、この路線は新たに発売したものなので商品認知を獲得するためにROAS目標は低めに設定した。
「もし以前のようにCPAで一律に目標設定していたら、成田シャトルには入札できませんでした。ROAS目標を考えることによって、成田シャトルを商品として定着させようという販売戦略と広告戦略を連動させることができました」(玉矢氏)
玉矢氏はマリンソフトウェアと共にROAS目標を設定しながら、リスティング運用において目標を明確に定める意義を実感したという。商品の利益率や在庫状況を考慮せず、GoogleやYahoo!などの管理画面で見られる情報だけで運用することのデメリットは大きいといえる。
利益率や在庫状況をふまえた運用による成果はすぐに数字にも現れた。広告効率が改善しただけでなく、客単価が上がり売上件数も増えたことで全体の収益もアップしたという。
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