変化の速い市場で、チャレンジし続けられた訳とは
――続いて、根本さんにキャンペーンやプロモーションを設計する上で意識していることをお伺いします。
根本:ひとつのキャンペーンやプロモーションがどうあるべきか、このタッチポイントに触れた人たちにどういう気持ちになってほしいか、何を持ち帰ってほしいのか、どういうゴールなのかを考え、設計しています。
他の業界であれば、プロダクトの販売計画が、年間である程度立てられていて、季節ごとに限定商品を出したり、それに合わせたプロモーションを考えたりすることも多いと思います。
ところが、スマートフォンアプリ、特にゲームアプリは市況の変化が速いので、クォーターごと、時にはそれよりも短いスパンで戦略を立てていく必要があります。さらに、柔軟性を持ってクイックに取り組むことが求められます。弊社では、市況の変化や競合の動きを肌で感じながら、それにいち早く反応するように考え続けています。
――市場や競合の動きが激しくかつ速いため、それに対応していく必要があるということですね。
根本:というより、自分たちが競合よりも先んじて動くことが重要ですね。他社と同じフレームをなぞった企画を行っても、そこには新たな価値は生まれないと思っています。どうすれば、他社のしていないことができるのか、「新しいこととは何か」を常に考え、「企画の新しい種」を日々探しています。
「今取り組むべきこと」はトップダウンで落ちてくるものではありません。自分たちでニーズではなく、シーズを見つけて、それを具現化する企画を作り出す。もちろん、課題はプロモーションやPRだけでは実現できません。そのためゲーム、アニメ、商品企画、イベントなど様々な要素を取り入れたメディアミックス戦略に基づいたプランニングを行うようにしています。
マーケティングにおけるパイオニアであり続けたい
――市況の変化が速すぎて、プランを変更せざるを得ないということはありますか。
根本:普通にあります(笑)。事前に考えた通りにできないこともあります。たとえば、2016年10月に行った3周年のプロジェクトの中でIDくじというものを開発したのですが、すぐに他社からも酷似したサービスが出てきました。真似されるということは「良い企画」の証拠。それはそれで良いと考え「次の新たな施策にチャレンジしよう」とすぐに新施策の企画に着手します。
モンスターストライクは、独自性を確立していると思っています。ただ我々はそれに甘んじることなく、たとえ同じようなゲームアプリが出てきたとしても、唯一無二の存在であるために日々進化を続けていると思っています。マーケティングにおいても岡野が言っていたように「常にチャレンジすること」が求められているのです。
――確かに前回の記事で話題に上がった“モンストやるなよ”キャンペーンなどはかなり攻めた表現でしたね。
根本:広告表現など、企画が難航するものもあるのですが、それも果敢にチャレンジしていきます。困難やリスクもあるけれど、それをクリアしたときのリターンは大きい。ユーザーに届けたいこと、実現したいことなど、その目的を達成するためならば、積極的にありとあらゆる手段を講じて攻める姿勢で取り組みます。
「できない」と諦めてしまうのではなく、「できるようにするにはどうすればいいか」を、関連する様々な部門と連携しながら追求していきます。
――「できない」から諦めるのではなく、「できない」を「できるようにする」よう工夫するのですね。
岡野:確かに、そういうDNAがマーケティング部にはありますね。
根本:もちろん、ダメだった場合のバックアップの企画も用意しますが、ギリギリまで粘ります。一見ムダに思えるかもしれません。たとえ非効率に見えたとしても、目的のためであれば、危ない橋であったとしても渡っていこうとする姿勢を大事にしています。