デジタルトランスフォーメーションの本質は「事業のサービス化実装」
これまでの生活者の購買行動や意識を踏まえると、企業が顧客に選ばれ続ける存在になるためには「一人ひとりの顧客の期待や欲求をかなえる“体験の継続的な提供”」=「事業のサービス化実装」が必須となると考えています。事業のサービス化実装とは以下のように定義できます。
事業のサービス化実装
検討から購買、利用までのすべてのカスタマージャーニーや顧客接点において生活者/顧客と適切で継続的なリレーションシップを構築し、顧客の要望に応えること

そして事業のサービス化実装をするということは、商品そのものもサービス化するとも言えます。商品のサービス化とは次のように定義できます。
商品のサービス化
「モノ」から「コト」へのパラダイムシフト。「利用」や「顧客体験」に力点を置いた商品のサービスパッケージ化やデジタル化、パーソナライズ化のこと

特に後者はサービスドミナントロジック(=モノではなくサービスを起点に経済活動をとらえ直す考え方)を基点にしており、デジタル起点というより経済成長の中で発展してきた考え方です。
デジタル化によって体験を起点にしたサービスの提供がより加速し、さらに、顧客行動の把握が容易になったため「企業の提供するプロダクトを顧客視点でサービス化し、顧客体験を高めるだけでなく、各種接点において適時な生活者・顧客対話を継続すること=リアルタイムコミュニケーションまで含めてが‘サービスである」というように“サービス化”の概念が拡大しサービスマーケティング2.0的な、デジタル化が進んだ今だからこそ実現でき、かつ実現すべき考え方となっているのです。
「デジタル化」そのものを目的にしないために
冒頭で、“デジタルトランスフォーメーションに潜むジレンマ”について書きましたが、「デジタル化」することそのものを目的としないためには、その先に何を提供したいのか? という共通のビジョンを、関わる人々すべてで共有することが理想です。
言うは易し、ですがマーケティング領域における全体的な潮流として、企業の提供価値づくりの主体は「企業主体」から確実に「顧客や生活者主体」にシフトしていることは確実です。
常に、生活者に対する価値提供を常に意識した「サービス化実装」を行うことが、手段を目的化しない、各組織がバラバラに動かないために大事なことになってくると自戒を込めて常に考えています。
次回はデジタルトランスフォーメーションによって変革する4Pについて、サービス化の具体的な事例を交えながらお伝えしたいと思います。