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バズってもモノが動かないなら「失敗」でしょ?そろそろマスとWebを“地続き”で考えよう

2017/08/28 08:00

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回取り上げるのは、Webが登場して以降、おそらくすべての広告関係者が頭を悩ませてきた「マスとWebは別物なのか?」「Webでブランディングができて“売り”につながるのか?」というテーマだ。実践を通してその解をつかんでいる、クリエイティブディレクターの小霜和也氏を訪ね、前後編で2つのテーマを掘り下げる。前編では「マスとWebは別物なのか?」に迫る。

模索しながらデジタルのセオリーをつかんだ

小霜オフィス クリエイティブディレクター/コピーライター/コンサルタント 小霜和也氏zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏
小霜オフィス クリエイティブディレクター/コピーライター/コンサルタント 小霜和也氏(写真左)
zonari 代表執行役社長/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真右)

有園:小霜さんは博報堂のコピーライターご出身で、現在はクリエイティブディレクターとして多数の広告制作を手がける傍ら、企業の側に立ってマーケティングやクリエイティブのコンサルティング、教育支援などもされています。

 デジタルの活用にも早くから取り組まれていますが、私がお仕事をご一緒させていただくようになった時点で独立されてだいぶ経っていたと思うので、いわば自力で“デジタルシフト”してこられたわけですよね?

小霜:言われてみれば、そうですね。元々はマス広告のクリエイターとして、テレビCMばかり担当していたので、デジタルを活用し始めてからは本当に手探りでした。

 今でこそ、デジタルクリエイティブの一定のセオリーがつかめたように思いますが、最初はWebコミュニケーションというものをどう捉えればいいのかわからなかったし、失敗もたくさんしましたよ。

有園:小霜さんでも、そうなんですね。そんなここまでの知見を下にした書籍『急いでデジタルクリエイティブの本当の話をします。』(宣伝会議)が、先日発売になりました。この査読を私が担当させてもらったのですが、読んだらやっぱり直接いろいろとうかがいたくて。MarkeZine読者向けに、2つの大きなお題を立てました。

 「マスとWebは別物なのか? それとも同じように考えられるのか?」そして「Webでモノは売れるのか?」ということです。

小霜:直球ですね。

Web動画ではなくWebCMと呼ぶことの意味

有園:直球です、90分2本勝負でお願いします(笑)。

 書籍では、“デジタルクリエイティブで今いちばんホットである動画を中心的に取り上げ、最初に「『Web動画』ではなく『WebCM』と呼ぼう」と語られています。それが、マスとWebを本当に使いこなす第一歩になるんだろうと私は感じたんですが、まず、WebCMという呼称に込めた意図を教えていただけますか?

小霜:たとえば、新聞広告を「新聞静止画」とは言いませんよね。静止画なのは当たり前で、何らか人に動いてほしいという意図をもった表現だから「広告」と言うわけです。だったら、動画も広告として使うなら「動画」とは言わないんじゃないか、という疑問がまずありました。

 Web動画というと、概念としてすごく幅が広いですよね。全世界で1億回以上再生されて爆発的に流行った、アメリカのおばちゃんがチューバッカのマスクをかぶって笑い続けるだけの動画がありましたが、あれもWeb動画には違いない。でも、見て終わりのただの動画ですよね。別に見た人に次のアクションを促す「広告」ではありません。

有園:確かに、そうですね。

小霜:もし、マスクを売るための広告として機能させるなら、最終的に買ってもらうまでのコミュニケーションの設計がまずあって、その中で動画にどういう役割を持たせたいのかを考える必要があります。それはただの動画とは違うので、テレビCMに対してWebのCMという意味で「WebCM」と呼ぶべきだと考えているんです。

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