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1日120種類のメール送信で顧客との接点を創出 イーデザイン損保のマーケティング施策に迫る

 イーデザイン損保は、東京海上グループとNTTグループの提携によって2009年に開業した会社だ。同社の現在の契約保有件数は約50万件。それだけの顧客に対して一斉メールを送るのも、相応のメール配信機能がなければ難しい。その課題を一気に解消したのがユミルリンクの「Cuenote FC」だった。同社のマーケティング、IT担当者に新サービス導入の経緯と効果について聞いた。

お客様との接点強化のためのWeb施策

(左)イーデザイン損保 マーケティング部次長 竹内隆氏(中央左)イーデザイン損保 IT企画部マネージャー 丹洋之氏(中央右)イーデザイン損保 コーポレート部アシスタントマネージャー 井口隆史氏(右)ユミルリンク セールス本部 営業部 営業2課 古関孝則氏
(中央右)イーデザイン損保 マーケティング部次長 竹内隆氏
(中央左)イーデザイン損保 IT企画部マネージャー 丹洋之氏
(左)イーデザイン損保 コーポレート部アシスタントマネージャー 井口隆史氏
(右)ユミルリンク セールス本部 営業部 営業2課 古関孝則氏

――はじめに、イーデザイン損保の事業内容を教えてください。

井口:弊社は、通販型自動車保険を提供するダイレクト損害保険会社です。ダイレクト型自動車保険を選ぶお客様は年々増加しており、契約件数は50万件を超えました。東京海上が日本で初めて自動車保険の営業認可を取得してから100年以上が経ちますが、そのノウハウ、ネットワークをフルに活用しています。

――御社の強みはなんでしょうか?

竹内:東京海上グループの全国ネットワークによる充実したサービスと、100年を超える経験・実績で確かな安心をお届けできることが私たちの最大の強みです。「事故解決のプロフェッショナル」をコミュニケーションワードとして、お客様との接点を強化しております。「ダイレクトは安い」ということだけではなくて、弊社が信頼して任せられる会社なんだということ知っていただきたいと考えています。

イーデザイン損保の特長(※2017年10月時点)
イーデザイン損保の特長(※2017年10月時点)

――マーケティング施策の概況を教えてください。

竹内:広くイーデザイン損保を知っていただくことを目的に、お客様との接点やコミュニケーションを設計しています。自動車保険の加入を検討する際にできるだけ多くの方々にイーデザイン損保を想起していただけるように、プロモーションに取り組んでいます。

 一方で、Webサイトでお客様の知りたい情報を的確にかつスムーズに提供すること、お見積もりの際に不便や面倒を感じさせないようにすることも大事です。その導線設計をマーケティング施策の大きな柱として取り組んでいます。お見積もりをいただいた後のお客様とのコミュニケーションでは、メールが重要な役割を果たしています。

お客様の意図に合ったコンテンツづくり

――まずはWebサイトに来てもらうことが必要になると思いますが、そのための施策ではどのようなことをされているのでしょうか?

竹内:多くのお客様は、「自動車保険」というワードを検索して、弊社のサイトに来訪されます。ですので第一段階として、検索した方の意図に合ったコンテンツを提供することに注力しています。そのほか、Webサイト上の広告なども活用して弊社Webサイトに来訪いただけるようお客様との接点を増やしています。

――Webサイトの運営で特別に工夫していることはありますか?

竹内:Webサイトに来ていただいたときに、保険会社としての安心感と信頼できる自動車保険というイメージをしっかりと感じていただけるよう、補償内容や事故対応の流れなどをわかりやすくお伝えできるサイトづくりを意識しています。

 2017年度に入ってからは新たな取り組みも始めまして、コンテンツの拡充を行っています。「自動車保険」と検索されたお客様の意図に合ったコンテンツをいかにご提供できるかという観点で、サイトの中身を見直した結果の施策ですね。保険会社として補償・サービスで選んでいただくことも大事ですが、一方で保険料が気になる方もいらっしゃいます

 そのため、どうしたら保険料を節約できるかというコンテンツなどもご提供しています。今後は初めて自動車を買った方やこれまで自動車保険の契約をしたことのないお客様をサポートできるコンテンツも考えています。

――保険料比較サイトからの見積もり依頼や契約者への各種ご案内は、メールで対応されているとのことでしたが、今回ユミルリンクのサービス「Cuenote FC(キューノートFC)」を導入されたとお伺いしました。その経緯を教えてください。

:これまでは、社内のシステムを使ってメール送信を行っていました。お客様との接点強化のために1日で約120種類のメールをお送りしているのですが、自社のシステムでは大量のメールを一括送信する際のトラフィック、送信量に限界がありました。

 また約120種類のメールの配信スケジュールを組み合わせるのが厳しく、スケジュールの隙間がない状態で、メールによる新たなコミュニケーション拡充がしづらくなっていました。そこで、いくつかの会社様からご提案をいただいて、システムの切り替えを検討し、「Cuenote FC」を導入することにしました。

大量のメール送信が高速で確実にできる

――「Cuenote FC」のサービスの特徴はどこにありますか?

古関:ユミルリンクの営業をしております古関です。「Cuenote FC」は、会員収集からメール配信、効果測定までを標準機能として装備し、様々なシーンで利用できる高速メール配信システムです。大きな強みは、大量のメール配信を高速で、なおかつ確実に行うことができることです。

 それに加えて、今回は保険会社様で個人情報の取り扱いを重視されていますので、そのセキュリティ対策も合わせてご提案させていただきました。各社でシステムへのご要望は異なりますので、カスタマイズに関しては柔軟に対応しております。

――導入の決め手は何だったのでしょうか?

圧倒的なメールの送信スピードと量、あとは機能面が一番の決め手です。弊社のシステムから連携してメールを送信するために、弊社用にカスタマイズしていただく必要があったのですが、我々の要望に柔軟に応えていただきました。セキュリティも弊社の基準に合わせて強化していただいています。古関さんには弊社のシステム担当と言っても過言ではないくらい、深く関わっていただきました。

伝えたい情報をタイムリーに届ける

――今後行われる施策でこのシステムをどのように活用する予定でしょうか?

:既にご契約いただいている方や、弊社の保険加入をご検討されている方とのコミュニケーション強化に向けて積極的に活用していきます。これまでの弊社のシステムでは、大量のメール送信は困難でした。

 ご契約いただいている50万件のお客様全員にご案内するメールがあるのですが、これまでは2~3日に分けてお送りするしかありませんでした。ところが弊社の新サービスをご案内するメールを、ユミルリンクさんの「Cuenote FC」で送信を行ったところ、50万件に対して2時間半くらいで送信が終わったんですね。これまでの苦労は何だったんだ……と正直あっけにとられました(笑)。おかげさまで、お客様に対してタイムリーに情報をお届けすることができるようになりました。

メールの件名に車名を入れて、開封率アップ!

――メール配信で工夫していることはありますか?

:まず、お客様にメールをお読みいただけたかを「Cuenote FC」のメール開封率の計測機能で分析しています。メールの種類にもよりますが、開封率は30~40%といったところでしょうか。

古関:一斉配信メールに近い内容のものは、一般的に開封率は10~15%程度と言われていますので、かなりいい反応ではないかと思いますね。

:お客様はメールの件名で開くかどうかを判断されます。これまで行ってきた工夫の中で特に効果を感じたのは、件名にお客様の車名を入れてお送りするものですね。たとえば、プリウスに乗られているお客様には件名に「プリウスの自動車保険♦新サービスをはじめます♦」などというように、件名から興味を持っていただけるようにしています。

竹内:お伝えしたいことをたくさん書いたメールをお送りしたほうがいいのか、要点だけのシンプルなものがいいのか、いろいろなテストを繰り返しています。

 実際にメールを配信して、結果の比較をA/Bテストで行うなど、日々工夫を重ねていますが、配信タイミング・クリエイティブ・メールの目的・お客様の属性などによって効果は様々です。今後も、よりお客様のニーズに合ったメッセージをお届けできるよう、改善を繰り返していきたいと思っています。

――今後の展望について聞かせてください。

:弊社からお客様にお送りしているメールは、お客様のご契約の状態やお客様の特性によって、大きく分けて2種類あります。ご契約の更新時期をお知らせするなどお客様毎に個別にお送りしているメールと、災害情報のように一斉にお客様へお送りしているメールです。特に後者の場合は、「Cuenote FC」の強みである大量配信機能を最大活用したいと考えています。

 加えて、お客様への情報発信をより強化していきたいです。たとえば、新たなサービスを展開するときに既存のご契約者様に対してもメールでタイムリーにご案内するなど、こちらからお客様との接点を作っていきたいと思います。そういうときに、「Cuenote FC」が武器になるのではないでしょうか。

――ユミルリンクさまに期待することは何かありますか?

:トラブルが起こるとお客様にご迷惑をおかけしますし、企業のイメージダウンにもつながりかねないので、システムの安定稼働は大命題です。今回新サービスを導入して数ヵ月が経ちますが、まったくトラブルがありません。引き続きよろしくお願いしたいと考えております。

――最後に、マーケティングの統括的な目標を聞かせてください。

竹内:まだ「自動車保険=イーデザイン損保」というイメージの定着には程遠いと思っています。広く弊社のことを知っていただいて、自動車保険のご検討のタイミングで弊社を思い出していただくようにしたいですね。また、弊社のWebサイトに来訪していただいたお客様に対して、より密なコミュニケーションがとれるような取り組みを強化していきたいと考えています。

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この記事の著者

元永 知宏(モトナガ トモヒロ)

1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。『本田宗一郎 夢語録』、『羽生結弦語録』(ぴあ)などを編集。2016年10月に『期待はずれのドラフト1位』(岩波ジュニア新書)を上梓した。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/24 10:00 https://markezine.jp/article/detail/27177