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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

ハーゲンダッツ流UGCマーケはファンの声起点で

ファンの期待を裏切らない振る舞いを

――アイスやお菓子などの商品で、話題性を狙って特別な形のものを意図的に「レア」として用意するケースも少なくありません。御社の場合、UGCから商品開発に反映するといった取り組みはないのでしょうか。

 そういったことが得意な企業もあるかと思いますが、当社ではやっていません。

 開発サイドは、市場を見つつも匠の世界という感じで、徹底的に質にこだわっています。バズることを意識した商品を作るわけでもなく、マーケティング施策でもファンの声を拾い上げて企画が生まれていく感じです。

――ハーゲンダッツのファンはとても熱量が高そうです。

 そうですね。「私のハーゲンダッツとはこういうもの」という強い愛着を持たれています。その期待を裏切らない振る舞いが求められていると思います。

 20年ぶりにリニューアルした『マカデミアナッツ』のキャンペーンもファンの熱量から生まれました。『マカデミアナッツ』は定番商品の中で認知度が低く、どうアピールしようかと考えていたところ、リピートユーザー率の高い、コアなファンに愛されているフレーバーであることがわかりました。

 そこで、マカデミアナッツ愛好者を「マカデミマニア」と称し、全国の「マカデミマニア」を募るキャンペーンを展開しました。TwitterまたはInstagramで「#マカデミマニア」をつけて、マカデミマニア宣言すると、1日1名に冷凍庫に入る数だけ『マカデミアナッツ』が当たるというものです。同時に、著名人のマカデミマニアがマカデミアナッツ愛を語る特設サイトをオープンしました。

 このキャンペーンは、月の売上を前年比の1.5倍まで伸ばすなど大きな成果が得られました。

定番商品の中での『マカデミアナッツ』認知度とリピート率
定番商品の中での『マカデミアナッツ』認知度とリピート率

SNS別活用術

――UGCで成り立つメディア、SNS自体も変わり続けています。UGC活用の兆しを感じたのはいつ頃でしょうか。

 2015年くらいからでしょうか。2013年当初はFacebookとLINEをメインで運用していました。LINEには双方向性がないので、情報をお届けするだけでした。Facebookの方では、ユーザー投稿をご紹介するようなことをやっていました。また、「クラブ ハーゲンダッツ コミュニティ」という新商品をいち早く試せたり、商品について語り合ったりできるファンのためのコミュニティがあり、そこで出てきた感想をFacebookでも紹介するということもやっていました。

 その後、2015年頃からTwitterとInstagramがメインになっていきました。こちらのほうがよりインタラクティブなためです。

――Twitterのほうが後なのですね。

 公式アカウント自体は2008年頃からあったのですが、積極的に活用できていませんでした。2014年半ば頃にFacebookのガイドラインが変わったということもあり、より反応率の高いTwitterをメインに運用していくようになりました。

 最も反響が大きかったのが、「華もち」に関する情報で、1日で6万件もの関連投稿がありました。

 この頃から、社内でも「Twitterでの反応はどんな感じ?」と聞かれることが多くなり、社内の意識も変わってきたと思います。

――Instagramについては?

 Instagramも2015年からはじめていますが、フォロワー数は13万6千人程度と他のSNSに比べて多くはありません(Twitterフォロワー数約79万人・Facebookフォロワー数約44万人)。

 ただ、Instagramだけを見ているという人も多く、公式以外のフォロワーやインフルエンサーの投稿から新商品を知ったという人も多いのが特徴です。

 ですので、公式アカウントのフォロワー数だけではなく、媒体の中でハーゲンダッツに関するメンションを増やしていくことが重要です。

――UGCを活用したキャンペーンもTwitterとInstagramをメインに展開されていますが、それぞれの施策の特徴は?

 わかりやすい例が、ベーカリー「メゾンカイザー」とコラボレーションし展開した、「MAISONKAYSER presents Häagen-DazsBakery」です。ハーゲンダッツ初のベーカリーを味わえるカフェを丸の内に期間限定オープンしました。

 オンライン上でも「#ハーゲンパン部」キャンペーンを展開しました。ハーゲンダッツアイスクリームを好きなパンにのせたり挟んだりしたあなただけの「ハーゲンパン」を募集しました。これは明確にInstagram、つまり写真映えを意識したものでした。Twitterはむしろ、大喜利のような企画が強いですね。たとえば7月から、「ハーゲンダッツ サマーリゾート」ということで限定店舗を外苑前に開き、これに合わせ「TwitterかInstagramで『#ハーゲンサマー』というハッシュタグをつけて、この夏の欲しいものをつぶやこう」というキャンペーンを開催しました。期間中、1日1人にひと夏分のハーゲンダッツをプレゼントしました。

 このプレゼント自体も話題になりましたし、寄せられた投稿には「疲れない体」や「彼氏」といったおもしろいものが多くて。こういうネタ系の企画は、Twitterが強い分野です。

#ハーゲンパン部イメージ
#ハーゲンパン部イメージ

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この記事の著者

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 17:40 https://markezine.jp/article/detail/27236

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