日本でもAIスピーカーが続々発売
日本時間の10月5日に、GoogleはAIスピーカー「Google Home」の日本での発売を発表した。同じ日に、LINEが「Clova WAVE」の正式発売を発表。海外で先行する「Amazon Echo」も11月8日に日本市場での販売が始まった。
ようやく日本でも、AIスピーカー元年を迎えたといえそうだ。
ここでなぜ、「ようやく」などという言葉を使ったのかというと、アメリカでのAIスピーカーの普及は、日本よりも3年ほど先を行っているからだ。
VoiceLabsの調査「The 2017 Voice Report」によると、アメリカでは、2015年に170万台、2016年に650万台のAIスピーカーが売れた。2017年には2,450万台が出荷され、今年中に累計3,300万台のAIスピーカーが普及すると予測されている。
日本でも同じくらいのペースで普及が進むと仮定すると、2020年に1,000万台以上のAIスピーカーが普及するものと予想できる。厚生労働省の調査によると日本の1世帯当たりの平均人数は2.47人だから、単純計算で2,470万人ものAIスピーカーユーザーが生まれることになる。
eMarketerが2017年5月に発表した市場シェア調査によると、2015年に一般発売されたAmazon Echoのシェアが最も高く70.6%、次いでGoogle Homeが23.8%。その他のメーカーは、合計しても全体の5.6%だ。
今年の12月にはAppleが「HomePod」をアメリカ、イギリス、オーストラリアで発売することを発表済み。Appleが後発からどの程度シェアを伸ばすか、また日本でのシェアがどうなるか、注目されるところだ。
音声インターフェイスは、ハマると抜け出せない
我が家では、LINEが先行発売した「Clova WAVE」を数カ月前に購入した。届いた荷物の封を解き、少しの設定をした後、私は、我が家の子供たち二人の前で「クローバ」と話しかけてみせた。すると彼らはすぐに真似をして、AIスピーカーに音楽を流させたり、テレビを点けさせたりして、あっという間に使いこなせるようになったのだ。その様子を見て、これは間違いなく、誰でも、すぐに使いこなせるデバイスだと思った。
博報堂DYメディアパートナーズの「第1回メディアイノベーション調査レポート2017」は、スマートフォンでの「音声入力・音声検索の利用率」を年代×性別で調査した。その結果、全体で24.3%、10代では男女ともに30%を超す結果となった。
もう一つ、J. Walter Thompson Intelligenceによるレポート"SPEAK EASY"が報じた、イギリスの研究機関で実施したテストの結果を紹介したい。このテストでは人がスマートフォンのタッチ操作でテキスト入力した場合と、音声入力をした場合の、脳の活動量を比較した。すると、音声入力のほうが、脳の活動量が圧倒的に少ないことが分かった。音声入力のほうが、メンタルへのストレスが小さいということだ。
何が言いたいかというと、いくつかの調査結果からも、また家族でAIスピーカーを実際に使ってみた体験からも、「人間が、音声UI(VUI=Voice User Interface)に慣れてしまうと、簡単かつ快適で、元に戻れない」ということだ。