非モテ?ユーザーも達成感味わえるようにしてリテンション改善
続いて、「女子から選んだらマッチング」する仕組みを特徴としている「Poiboy」を運営するダイバースの徳永清詩氏が、同社のグロース戦略について講演した。


まず、オンボーディング戦略について。「Poiboy」をユーザーが利用してデートするまでの流れをおさらいしておくと、女性が「ポイ」(男性にいいねを送信)すると、マッチングが実現し、メッセージのやりとりが可能になり、メッセージを通じて親しくなれば、リアルに会ってみる、というものだ。
とはいえ、実際に出会ってデートするところまでこぎつけるのは簡単ではない。そこで、出会うよりも前の段階で、アプリの楽しさを実感してもらう(オンボードしてもらう)ことが重要だと考えたという。
特に注力しているのが、初回起動時のオンボーディングだ。具体的には、「いつ、だれが、どんな状態」にあり、「どういう気持ちにさせたいか」を考え、ユーザーの体験を阻害しているものが何で、改善点がどこにあるかを表を作って分析しているという。
初回起動時にこだわるのは、ユーザーはインストールした直後が最もやる気になっているため、いいイメージを与えて二回目の起動につなげることが重要だからだ。

次にユーザー分析について。たとえば、男性ユーザーの分析においては、オンボーディングの各ステップにおいてリテンション数値がどうなっているかを調べた。
「Poiboy」では、ユーザーが長く使うほどPoiされる数が増え、NONEからブロンズへ、そしてシルバー・ゴールドと、より上のステータスにグレードアップしていく。上のステータスに行くほどリテンション数値はよくなるので、早く上位のステータスへと階段を登っていってもらうことが全体のリテンション改善につながる。
なかでも、会員登録したばかりでステータスがない「NONE」の状態から「ブロンズ」のステータスになると、リテンションが25%も向上するということがわかった。この差は大きいので、より多くの新しいユーザーを「ブロンズ」にする施策を模索することになった。
そこで、インストールして間もない男性ユーザーには、かわいいと思われそうな女性の写真を多めに見せて、出会いに対するモチベーションを高める工夫をし、Poiされやすくなるブースト機能を無償で使えるようにした。加えて、「ブロンズ」となる閾値をさげることで、ステータスアップの達成感を味わいやすいように工夫したという。

これらの取り組みによって「ブロンズ」になるユーザーを25%増やし、結果として6.25%のリテンション率改善を実現したという。
グロースのために必要な三種類の人材
ルックスや年収などスペックではなく、価値観や気が合うかという性格や共通点にもとづくマッチングを目指す「with」を開発しているイグニスからはプランナーの園田励氏と石毛健太郎氏が登壇した。演題は、「グロースのための総合力」と「withの改善」についてだ。


園田氏によると、サービスは一人で作るものではないので、「理想屋」「課題屋」「解決屋」という性質の異なる三者の連携による総合力が重要だという。

「理想屋」がいないと、目の前の細かな課題の改善に終止してしまい、既存の枠組自体の改善が実現しないことがある。

他方で、「課題屋」がいないと、問われるべき課題がスルーされてしまい、堅実な利益構造が生まれにくく、企画のリスクが高まってしまう。

そして、「解決屋」がいないと、課題がすべきことへと収束せず、アウトプットへと結実しない。

したがって、「理想屋」「課題屋」「解決屋」という三者の視点をそろえるとともに、未来の理想像や課題意識、クオリティを生み出すためのレギュレーションといった情報をチーム全体に共有していくことが重要になると園田氏は締めくくった。
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