細やかなシナリオ設定でECの鉄板・カートシナリオを強化
また、メール以外のチャネルも活用しメッセージのリーチを高めたいというリクエストもあったという。そこでCCMP導入後、3つの施策を行っている。
1つ目の施策は、ランキングメールのパーソナライズ化だ。これまでは、過去1週間にECサイトで購入されたアイテム全体のランキングを送信していた。CCMPの導入後は、過去1ヵ月間を対象にユーザーごとの購入履歴をもとにした関連アイテムのランキングへ変更。配信数の母数を減らしても、売り上げを伸ばすことができた。
2つ目は、細かいシナリオの導入である。具体的には「EC成功の鉄板シナリオ」、カート放棄シナリオの強化だ。これはユーザーがアイテムをカートに入れ、未購入となっている場合に行われるシナリオで、まず未購入状態であることをメールで通知。7日後、購入のないユーザーにのみ再度リマインドを行っている。また、カートに入れたアイテムがセール・値下げの対象となったり、在庫変動が起きたりした場合にもメールは送信されている。
チャネルの多様化と配信頻度の管理も効果あり
そして3つ目は、コミュニケーションチャネルの拡充だ。
「お気に入りアイテムが値下げをした場合はメールでお知らせをしていたのですが、CCMPを導入いただいたことで、さらにLINEも使えるようになりました。メールで反応がなかったユーザーのみ、LINEでメッセージを送るようにしています」(文字山氏)
CCMPはワンプラットフォームで全ての施策を実施できるよう設計されているため、メールもLINEのメッセージも同じ管理画面の中で作成が可能だ。さらにUIのデザインに気が配られていて、チャネルが変わっても作成・運用がしやすいように工夫されている。
また、それぞれの施策の配信データや会員の反応データが全てワンプラットフォームに蓄積・連携されるため、もう1つの課題となっていた配信頻度のコントロールもCCMPでできるようになった。その結果、ユーザーごとにメールの送信数を管理でき、メール会員の離反率は改善している。
文字山氏はCCMPの特徴について「一斉配信・シナリオ配信と複数の配信手法が存在し、チャネルが横断している場合でも、メッセージの出し分けが可能です。また、配信頻度の調整も行えるため、不必要なコミュニケーションを防ぐことで離反防止につなげます」と語り、施策全体の状況が把握できるワンプラットフォームの利点を強調した。
MA導入でメール配信の作業工数を削減した三陽商会
最後に紹介されたのは、アパレルメーカー・三陽商会の事例だ。
シナリオ配信からパーソナライズドメールと、着実なメールマーケティングを実施している同社。また店舗顧客へのサンクスメールを送信するなど、O2Oの施策も行っていた。
その上で「メールマーケティングの成熟にともなう作業工数の複雑さと負荷が、課題だった」と、文字山氏は話す。
たとえば「カート投入後の未購入商品をリマインドするメール」の工数は次の通りだ。まずデータ作成に複数の担当者が付き、システムベンダーにデータ抽出を依頼。そのデータをもとに手動で配信リストを作成し、配信設定を行う。そして表示崩れなどをチェックして、送信する……。このフローを、配信のたびに行っていたのである。
「CCMP導入後は配信リストの作成までが自動化され、マーケター側で完結できる作業となりました。またテンプレートを作成することで、配信設定も簡単になっています。結果、作業コストが下がり、配信頻度も週1回から自動で毎日送れるようになりました」(文字山氏)