トレンド3:ABMはファイナンス面でも効果が明らかに
庭山さんもABMをテーマとした書籍を出されていますね。ABMは2016年におけるBtoBマーケティング業界のバズワードと言っていいでしょう。様々なソフトが出たこともブームを後押ししました。
新しいバズワードが出てくるたびに思うのが、「ワクワクするけど、反動が出てくるのがこわい」ということです。ABMって結局なんなんだろうという疑問や、もっと期待していたのにという失望も出てくるでしょう。ですが、ABMはBtoBマーケティングにおいて重要なものなので、マーケターは避けて通ることはできません。
SiriusDecisions(シリウス)によるABMについての調査をご紹介します。

ABMによる財務的なインパクトははっきりしています。案件の成約率が高くなり、ディールの額も大きくなっている。ABMへの対応は今後トレンドとして続くでしょうね。
トレンド4:新しい強力なデータソースの登場
BtoBマーケティングで有効なデータソースがたくさん出てきているのですが、日本にはまだ伝わっていないのではと思います。アメリカのBtoB企業は、データソースを使って新しい潜在顧客にリーチできる機会を得ています。
データソースが使えるようになってきたのは、Jigsaw(ジグソー)という10年前に作られた会社の成功が果たした役割が大きいでしょう。ジグソーはプラットフォームで名刺を交換できるサービスです。自分の集めてきた名刺をアップロードすると、他の会社が集めてきた名刺と交換できます。
ほとんどの営業マンは互いに違う名刺を集めているものです。新しいお客様に連絡する時、キーパーソンの名前や役職を、自社と競合関係にない会社から事前に教えてもらえると便利ですよね。
この仕組みは好意的に受け止められ、3年もたたないうちに6000万件もの膨大な名刺情報が蓄積されました。そして、セールスフォースに買収されたのです。これが今の「data.com」ですね。セールスフォースのユーザーが使えるようになっています。
ジグソーが台頭するまで、BtoBのデータはアカウントレベルにとどまっていて、企業名・本拠地の場所・URL・企業の概要を載せるのがせいぜいでした。ところが、アウトバウンドで顧客を探すなら、関係者の役職・名前・直通番号の情報があるとないとでは大違いです。これがジグソーによって可能になりました。名刺情報はアップされ続けるので、情報がアップデートされ続けることも魅力です。
「zoominfo」は、スクレイピングで経営層の情報を自動的に収集してマーケターに提供するサービスを運営しています。企業のウェブサイトには役員の情報が掲載されていますよね。これをかきあつめてマーケターの役に立つように整理するんです。
「leadspace」はPredictive modeling(予測モデリング)に強みがあります。企業が顧客DBから売上上位の企業名をアップすると、”look-alikes”の仕組みで類似する会社を見つけてくれます。
「bombora」は、IPアドレス情報を購入することで、IPアドレスとBtoB組織の名前をひもづけ、その会社の人がどのようなコンテンツに触れているかを分析しています。ベンダーはbomboraから、特定の分野でプロダクトやサービスを熱心に探しているバイヤーの情報を買うことができます。