理由2、ソーシャルメディアとしてのAmazon。
7月ついにAmazon Prime会員向け新サービス「Spark」がベールを脱いだ。「Spark」は、投稿に付いている購入ボタンから同じ製品を購入したり、投稿者とコメント欄でやり取りできるInstagramのような画像中心のSNSである。

つまり、今後Amazonは消費者が何を買ったかだけでなく、消費者一人ひとりの嗜好性や行動をより深く知り、ブランド認知から購買に到るまでの態度変容のプロセスを精緻に把握するタッチポイントも手に入れたのである。
「米国内では、Amazonを使ったマーケティング活動が「Eコマースマーケティング」として、「検索広告」や「ソーシャルマーケティング」などと同様に、確立された一つのジャンルとして認識されつつあるという実感を持っている」とAmazon.comの広告メディア事業責任者はコメントしている。
理由3、ビデオ広告プラットホームとしての可能性。
Facebookがテレビ番組制作を試みようとする時点で、Amazonはすでに10年以上にわたりストリーミングビデオを提供しており、エミー賞を受賞したオリジナル番組とオスカー賞を受賞した映画を制作していた。
Amazonが、「Prime Video」を補完する広告収入型の無料サービスを準備しているという噂について、AdAgeが同社の計画をよく知る複数の人物の話として報じた。同じくオンライン動画サービスを提供するNetflixは、約5200万のユーザーを抱えており、コンテンツ内で広告収益を上げる動きは必須であり、2018年はこの両者から目が離せない。
このように、Amazonは、広告がそのビジネスにもたらすポテンシャルに野心を持ち始めている。デジタルおよびプログラマティック広告、サーチ、ディスプレイ広告、ビデオ広告、音声広告プラットフォームとしての可能性に注目が集まる中、世界の大手ブランドもAmazon向けの予算について検討しはじめており、AmazonがGoogleとFacebookの強力なライバルとして台頭するという見通しが、ますます現実味を帯びてきている。
AmazonがIoTを駆使した広告を開発したらどうなるか
今後、さらに注目したいのは、AmazonのIoT分野における広告の可能性である。Amazonは、マーケティング担当者が喉から手が出るほど欲しい消費者データ「いつ何を買ったか」「どれくらいの頻度で買ったか」という重要なデータを集めている。
しかし、データは過去についての情報のみを伝えるもので、オフラインにおける消費者のリアルタイムなニーズは掴めないこともAmazonは良く知っている。その表れとして、AmazonはWi-Fiに接続されたボタン式デバイス「Dash」を一般家庭に普及させただけでなく、人工知能スピーカー「Echo」を通して、消費者がパソコンやスマホを操作しない隙間時間やよりパーソナルな空間に入り込み、リアルタイムのデータも収集し始めている。
今後、IoT家電とAmazonがリンクし、たとえば冷蔵庫の中身を把握できるようになれば、今晩の食卓に並ぶレシピの提案や不足する食材の発注など消費者の“欲しい”という日常の瞬間を捉えることが可能になる。そればかりか、Amazonは購買に繋げてさらに玄関先まで届ける流通インフラを持っている。Amazonの広告・メディアメニュー開発に広告主が熱い視線を送るのは当然のシナリオである。