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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

大型オウンドメディア終了のワケとは? SNS時代の最新オウンドメディア戦略

囲い込み施策として一世を風靡した「BMWフィルムズ」

 2000年代前半までは、Webサイトを活用した“囲い込み”施策自体がまだ少数でした。そのため国内外を問わず、先行して施策に取り組んだ企業による大規模な成功事例が次々と評判となっていました。特に世界中を驚かせたのが、2001年の「BMWフィルムズ」です。

 ガイ・リッチー、ウォン・カーウァイといった名だたる映画監督を起用したショートフィルムシリーズで、出演者にマドンナやミッキー・ロークといった話題性の高い大物タレントをキャスティング。

 7本にも及ぶ動画コンテンツはその一つひとつが注目され、コンテンツ制作とプロモーションに二十数億円を費やしたにも関わらず、コスト以上に売上への貢献があったといわれるプロジェクトです。

 この施策の成功理由はひとえに、有名監督や有名俳優などを起用した映画並みのクオリティのコンテンツをオウンドメディア上で提供した点にあります。

 当時は、まだYouTubeやNetflixといった動画ストリーミングサービスなどが普及する前。Web上で映画さながらの動画コンテンツを無料で閲覧できること自体が非常に珍しく、BMWのWebサイトには多数のユーザーが訪れました。

手の込んだコンテンツの価値が下がる時代に

 しかし、こうした成功事例が出始めた2000年代と2017年現在の状況はまったく異なります。特に変化したのは、生活者がデジタル上で体験できるコンテンツの豊富さです。

 2000年代は、オウンドメディア上でハイクオリティなコンテンツを公開していること自体が強力なインセンティブとして機能していました。そのため、生活者との接点を創出するうえで非常に効率が良かったと考えられます。

 しかし、現在ではインターネット上で映画そのものが手軽に楽しめ、プロ、アマ問わず様々なクリエイターが制作したコンテンツを楽しむことができます。こうした状況下では、当然企業が提供するコンテンツの価値は相対的に下がってしまいます。

 オウンドメディアの運営では、来訪頻度を高めるために、ユーザーが何度も来たくなる魅力的なコンテンツを提供することが重要です。しかし、コンテンツによる競争が激化すると費用対効果が如実に悪化していきます。

 一時代を築いたオウンドメディアの終了や「BMWフィルムズ」といったスペシャル動画、Webサイトでのリッチなコンテンツ体験をインセンティブとした施策が減少している状況は、年々その効率が悪化していることを物語っているのです。

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今後のオウンドメディアのあり方とは?

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この記事の著者

物延 秀(モノノベシュウ)

スパイスボックス 副社長。2006年スパイスボックス入社。プロデューサーとして大手企業のデジタル・コミュニケーションをワンストップで支援し、2012年以降はソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングとプロデュース、自社ソリューション開発を統括。2016年に事業統括責任者および執行役員に就任。2017年より現職。自社サービス:インフルエンサーマーケティング支援「TELLER」、コンテンツマーケティング支援「BRAND SHARE」、ROI分析プラットフォーム「THINK」、自社メディア:「newStory」自著:『新ヒットの方程式』~ソーシャルメディア時代は、「モノ」を売るな「共感」を売れ!~(宝島社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27599

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