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イベントレポート

Advertising Week New York 2017でGoogleは何を語ったのか?

GoogleとWalmartが描く、新たなコマースビジネス(3、The Future of Commerce)

 このセッションでは、Fortun誌のAdam氏がモデレータとして、GoogleのSridhar氏とWalmartのMarc氏にに話を聞く形で、両社が現在取り組んでいる新しいコマースビジネスについての議論が進められました(両社はAIによるボイスアシスタント機能を活用した新しいショッピング体験の取り組みを行っています)。

 GoogleのSridhar氏は広告部門のTOPであり、5月にサンフランシスコで行われた「Google Marketing Next」(AdWords、DouboleClick、Google アナリティクスなどの広告系プロダクトのカンファレンス。サンフランシスコで開催された)でもキーノートスピーカーを務めた人物です。そのSridhar氏から今回のセッションで“AdWords”やDoubleClick“の話は一切出てきませんでした。もちろん、CPCやCPAなどの運用型広告の効果やデータ活用の話もありません。ここでは、AIによるボイスアシスタント機能を活用し、リアルのRetailerであるWalmartと共同で取り組んでいるまさに「The Future of Commerce」について熱い議論が交わされました。

左から、Fortun誌のAdam氏、GoogleのSridhar氏、WalmartのMarc氏

GoogleとWalmartがパートナーシップを組む目的

 FortunのAdam氏から、「既にGoogle Express(※Googleが米国で展開する即日配送のショッピングサービス。Amazonの競合サービスとなる)があるけれども、今回の取り組みは何が新しいのか?」と問いかけに、GoogleのSridhar氏は、これまでとはまったく異なるアプローチであると答えました。

 「Google expressは注文・決裁におけるサービスだが、我々の取り組みはスピーディーでシームレスな(トータルな)ショッピング体験を創造することがゴールだ。Google.comだけでなく、Walmartのリアル店舗やオンラインショップも含めてEnd to Endのショッピング体験をこのThe Age Of Assistance(アシストの時代)でやることが我々のパートナーシップだ」(GoogleのSridhar氏)

 たとえば、洗剤や食洗器の話題など日常でのやり取りをAIエージェントはあなたの好みとして理解していて、その好みに応じて商品が届くようなことが起こる。そんな新しいショッピング体験がこの2社のリレーションシップでは可能になる、ということです。

 WalmartのMarc氏も「Googleは最高の技術企業でありAIにも取り組み実行力もある。我々自身ではできないが、一緒にやれば他にないくらい強い」とGoogleとのパートナーシップに自信をのぞかせました。

消費に大きな変革をもたらす、AIを使った予測的パーソナライゼーション

 広告の配信ターゲティングの分野において、AIの活用は日常の運用レベルに入り込み、活用フェーズに入っています。筆者がコンサルティングに携わることが多いGoogle アナリティクスにおいても、過去データをAIが分析し過去の結果集計だけでなく、“予測値”によってターゲティングリストを作り出す機能は既に実現しています。運用型広告の世界では現実的のものとなっていることが、ボイスアシスタントを使ったリアルなショッピングの領域へも広がろうとしているのです。

 Sridhar氏は「AIを使った予測的なパーソナライゼーションが消費に大きな変革をもたらす。これは単なる一企業の戦略の話ではなく市場全面的な話になって行くだろう」と語りました。

Amazonに勝てるか?

 Adam氏はFortune誌の記者でもあり、このパネルのモデレータとしても記者らしい歯に衣着せぬ突っ込みが参加者の興味をより掻き立てるシーンが幾度となくありました。特にAdam氏から「Amazonに勝つためには何が必要か?」という問いは、秀逸でした。

 Sridhar氏は「Googleはまず第一には情報を届けること(がミッション)」として、さらに「新たなコマース体験(Googleの製品をタップして商品が送料無料で届くような)の創造には我々の多くの努力が必要だが、(消費者に新しい価値・体験も提供でき)Walmartの目的にも叶うということはとても素晴らしい」と語りました。

 Adam氏の「他の市場(他国など)でもWalmartと組むのか?それは(Googleにとって)安全な戦略か?」との意地の悪い突っ込みには「複数の小売業へのプラットフォームとなるでしょう。我々は小売業にはならずプラットフォームを作ります。しかし、そこにも多くの選択肢と競合がいる」とかわしました。

 ボイスアシスタントとリアルな小売企業とのコラボによって生み出されようとしている新たなショッピング体験について、そこでもGoogleはプラットフォーマーとしての大きな存在感を示していくことになるのでしょうか。Googleのプラットフォームがリアルの消費体験をどのように“Assist”していき市場のリーダーシップを取っていくのか。今後の動きにも注目です。

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この記事の著者

山浦 直宏(アユダンテ)(ヤマウラ ナオヒロ(アユダンテ))

アユダンテ株式会社 データソリューション推進統括部 統括部長
チーフエグゼクティブコンサルタント
元立教大学経営学部兼任講師

読売広告社において、事業局、営業局、デジタルビジネス局を経て、ファーストリテイリング、トランスコスモスにて一貫してデジタルマーケティングに従事。2016年よりアユダンテに勤務。 ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。アクセス解析には2003年より取組み、解析・コンサルティングの実績多数。2010年よりGoogle アナリティクス360を中心としたデジタルマーケティングコ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/12/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27629

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