GUIとVUIの大きな違いは「コミュニティ」にある
――音声をキーとするVUIとグラフィックのGUI。企画を考えるとき、その違いはどのような点に表れますか。
國原:スマートスピーカー用音声アプリを作るときに大切な視点は、「スマホは個人が所有する」に対し、「スマートスピーカーは世帯や人が集まるコミュニティに存在する」という点です。これが、GUIとVUIを設計する上で大きな違いとなります。個人で使うのではなく複数人で利用するケースが想定されますので、プライベートに関するコミュニケーションを必要とする場合はGUI以上に配慮を入れることもVUIらしい考え方です。
伊東:さらに「いつ・どこで・どんな人が・何を求めている」ときに使うアプリなのかを明確にしなくてはなりません。たとえば「レシピを教えてくれる音声アプリ」であっても、寝室で朝起きたときなのか、キッチンの冷蔵庫の前で悩んでいるときなのか?場所とシチュエーションが違えば、アプローチも変わります。ユーザーの生活サイクルのどのシーンに結びつけたいのか?を考えることが大切です。

――GUIのアプリも、どのようなシーンで使われるかという設計はされていますが、VUIはより利用シーンに密着しているという印象を受けます。
伊東:VUIはウェイクワードという起動の言葉が設定されています。「OK、Google。『日本語語呂合わせ』をつなげて」というものですね。つまりユーザーに、起動の言葉を覚えてもらうことが大事なのです。そのためには記憶に定着させることをポイントとしているので、日々の生活の中で自然と使われるアプリであることが大事だと考えています。
VUIとGUIの特徴を理解し、それぞれに適したサービス設計を
――VUIの登場で、今後GUIはどうなっていくとお考えですか。
國原:VUIがあるからといって、GUIがなくなるということではありません。「このサービスは、スマートスピーカーである必要があるのだろうか?」ということを、いつも考えて企画をしていますし、VUIとGUIができることを住み分ける必要があります。

――アプリの用途によって、VUIとGUIどちらを採用するかという選択肢が広がったということでもありますね。
國原:問題解決型のアプリをGUIで作るなら、FAQをもとにした情報検索がベーシックですし、VUIであれば、知らないことをクイズ形式で教えてあげるというアプローチができそうですよね。VUIを導線としGUIへ遷移させるというような、インターフェイスそれぞれの特徴を組み合わせた設計をすることも求められてくると思います。