悶々中にCNETからオファー
御手洗
ですね、そういう感じでした。面白いけど、事業的には次のフェーズに進みたいなぁと。サービスも徐々に大きくなっていくだけで、しかも受託は受託でかなり忙しい、と言う状況で。サービス始めて3年でそういう時期に入って、悶々としていたところに、
CNETからオファーがあったと。
四家
御手洗さんは悶々としているとオファーありますね(笑)。
御手洗
そうですね(笑)。
四家
ところでCNETはもともと、NTT系の別の企業が展開していましたよね?
御手洗
四家
米国で放送されていたCNETのTV番組は、日本でも放送されてましたよね。あれ、おもしろかったな。
御手洗
私も見ていましたし、それでCNETを好きになったというのはありますね。当時のアメリカのIT業界の空気みたいなものが率直に伝わってきました。かなりカジュアルだし。元々設立者のホールシー・マイナーのビジョンが「IT業界のMTVを作る」というようなものだったので、ああいう雰囲気だったのだと思います。
四家
なるほどねえ。僕は、だめな製品にだめってちゃんというところが好きでしたね。
御手洗
そうそう(笑)。その辺の率直さがかなり愛されていたと思いますよ。視聴者とか、読者あってのビジネスだということがよくわかっていたと思います。それってまあ、当たり前なんですけど、時にメディアでも忘れがちですよね。
四家
どうしてもお金持ってくる人、つまり広告主のこと考えますから。
御手洗
バランスの上に成り立っているものだけど、そのバランスを作るのが非常に難しい。
四家
僕もネット媒体の広告担当をずっとやっていたわけですけどクライアントからの記事に対する変な要望は一切編集部に通しませんでした。
御手洗
ですよね、そういうところがあってこそ、媒体もしっかり成り立つわけで。
四家
なので、もっとガンガン好きなこと書いてくれよ。駄目な商品やサービスには駄目だともっと書いてくれよとも思っていたんですが。
御手洗
編集と営業で同じビジョンを見られることが、媒体を成功させる上では非常に大事なんだと思います。
四家
なかなか難しいんですけどね。種族が違うから。
御手洗
そうそう(笑)。でも根っこが同じであることが大事で、インプリで多少揉めてもここで折り合えるというポイントが必要だと思います。
CNET日本法人の立ち上げ!
四家
で、CNET側はNTTPCコミュニケーションズとの契約を終了して、日本法人を作ろうと。
御手洗
ですね、日本法人を作ろうということで、最初は私のところに「いい会社を知らないか?」とやってきたんですが。
四家
CNETが御手洗さんを訪ねてきたのは。昔の知り合いとか?
御手洗
えーと、うちがネオテニーの投資案件の1つで、伊藤さんが紹介したのが始まりだったと聞いています。
四家
なるほど。
御手洗
「こういう事業をやっている会社がグループにある」と言う感じで。でまあ、私としては思い浮かぶ会社をいくつか紹介したんですが、当時もう残っているネット系のベンチャーがあまりなかったこともありまして。あってもオーバーインベストメント状態にあるところも多かったので、資本金1,000万円でカツカツに運営しつつ、かつ黒字でエンジニアもいる会社っていうのは、そこそこ魅力的だったのかもしれません。
四家
そのビジネスで当時黒字を作るのは凄いことですよ。
御手洗
いや、サービスの方は真っ赤でしたね(笑)。かなり受託で支えていたのが実情です。
四家
それでも、凄いです。企業として黒だったのはすごい。あの時期に。
御手洗
確かにそういう側面はあったかもしれません。とはいえ、元々ネットのサービスってインフラ以外はあまり金がかからないので。
四家
本来はね(笑)。
御手洗
そうそう(笑)本来は。でまあ、サービスの方も月間150万PVぐらいはあったので、今で言うとたいしたことの無い数字ですが。
四家
当時としてはそこそこですよ。
御手洗
まあそこを母体に何か始められるだろう、ぐらいの算段はあったのだと思います。
四家
で、CNETを任せると。
御手洗
でまあ、CNET設立以来といわれる迅速な契約交渉も進み(笑)。自社をCNETに売却して、CNET日本法人を作ることを決めたわけです。社員と株主に合意を取って。
四家
すばらしい。
御手洗
それが2002年の8月でしたね。
四家
なるほど。
御手洗
それでまあCNETの準備を始めていったわけです。
起業を経て、CNET日本法人社長に就任した御手洗氏。後編ではいよいよCNET成功の秘訣にせまります。後編は10月23日(月)公開予定。お楽しみに!