デジタル領域で“気が利いた”接客事例を作る
2017年を振り返って
デジタル領域でのユーザーコミュニケーションが、リアルの世界観に急速に近づいてきました。セゾンカウンターで営業を担当していたとき、お客様の属性・カード利用情報等や会話からニーズを推測し、タイミングを計った丁寧な接客を心掛けていました。こういったリアルでの接客をデジタルで具現化する環境が、スマホを中心とした多様な接触チャネル、ユーザー情報を統合するDMP、タイミングを捉えアプローチするWeb接客ツールやMAといったツールの普及により整ってきました。当社でもタイムリーで細やかな接客実現に向け、MA、AIによる自動応答チャットを導入しました。
2018年へ向けて
デジタル領域で“気が利いた”接客事例を一例でも多く増やしていきたいと思っています。前述のMAや自動応答チャットは一定の成果が出ていますが、さらに進化させるには、「細やかなシナリオ作成」と「お客様への表現力を高めること」が大切だと思っています。前者の解決策の一つは、2016年構築したセゾンDMPの精度向上です。たとえばまだ利活用できていないデータの分析ができれば、より細やかなシナリオ作成が可能です。後者はお客様にわかりやすい見せ方・タイミングでのご案内です。これには既存手法に限らず新しい技術・手法を持つ企業とも積極的に連携し、ユーザーの心に届く接客へ環境整備を進めていきたいです。

株式会社クレディセゾンネット事業部
デジタルマーケティング部 データビジネス課 田中 泉氏
2005年クレディセゾンに入社。東海支社岡崎西武店セゾンカウンター配属となり、主にカード入会の営業活動に従事。2009年、ネットビジネス部開発企画課に転属。「ネット事業部」の発足を機に、ネット戦略企画部システム開発課へ異動。2015年からネット事業部デジタルマーケティング部に異動し現職。「セゾンDMP」を中心としたデータ事業企画・運営を担当する他、全社横断プロジェクトにも参加。
ソーシャルとテクノロジーを活用した勝ちパターン
2017年を振り返って
企業と消費者がスマートフォンでつながるスマホファーストが、2017年におけるデジタルマーケティングのトレンドだった。ECや店舗において、トラフィックソースとしてのソーシャル活用が業界全体に見られた。日本は、他国に比べて消費者の流行の移り変わりが早い傾向があり、かつてのmixiはユーザー離れに歯止めが利かず淘汰され、満を持してFacebookが台頭したと思いきや、現在の消費者滞在時間ナンバー1はLINEとなり、Instagramも急激に滞在時間を増加させた。消費者の動向、細分化する情報収集行動を判断し、ソーシャルとテクノロジーを活用した企業が、ソーシャルの爆発力や波及効果を得るという勝ちパターンが見えた一年だった。
2018年へ向けて
消費者は、スマホで複数のソーシャルを活用し情報収集している。その細分化された消費者の情報収集行動をトラフィックソースとして活用するために、リッチメディアコンテンツの開発、適切なタイミングでシナリオを展開するためMAやAIといったテクノロジーの活用がさらに強まると予想する。また、コンバージョンシナリオとして、アメリカ、中国型のショッピングフェスティバルを日本でも実施することが主流となるだろう。弊社の戦略は、常にカスタマーエクスペリエンスの進化を念頭に、トラフィックに関しては「More More LINE」をコンセプトにAPIテクノロジーを強化し、コンバージョン面ではAIと後払い決済を導入する予定だ。

クロックス・ジャパン合同会社
イーコマース ディレクター 木村 真紀氏
大学卒業後、金融を経て、サン・マイクロシステムズ(現・日本オラクル)にてダイレクトセールスを経験。その後2004年から、トレンドマイクロにて個人向けウイルスバスターのEC&デジタルマーケティングの責任者として、デジタルサイドからリテールマーケットシェア1位の獲得に貢献。2011年から、クロックス・ジャパンにて、EC&デジタルマーケティング日本責任者、現職に至る。
健全なデジタルメディア育成に貢献する
2017年を振り返って
2017年はインターネットおよびデジタルマーケティング業界が、社会的存在としての責任を明確に問われはじめた年として記憶に残る。特に、2016年のBrexitに続き米国大統領選挙で、政治的意図を持った団体や個人のフェイクニュースやフィルターバブルによって、世論操作となったことは、今後のデジタル業界を大きく左右すると考える。デジタルのプラットフォーマー自身が政府規制の対象として議論されるまでになっており、今後のデジタルマーケティングは、資本の論理やマネタイズ目的だけでなく、テレビや新聞のように、より高い倫理観、透明性、自主規制を強く求められることになる。
2018年へ向けて
良質な情報を世界に提供するというミッションのもと、事業展開する日本と米国だけでなくグローバルレベルで、優良なコンテンツホルダーだけでなく、大手プラットフォーマーとも協力し、フェイクニュースリスクの排除と健全なデジタルメディア育成に貢献したい。SmartNewsという単独メディアとしても、高い認知と信頼性のあるブランドとなっていきたい。マーケティング面においては、消費財マーケットで発展してきたオフラインマーケティングの原理原則やノウハウと、デジタルマーケティングが得意とするビッグデータを活用したリアルタイムマーケティング運用とを統合マーケティングとして発展させブランド構築を加速したい。

スマートニュース株式会社執行役員 マーケティング担当 西口 一希氏
1990年P&G入社。マーケティング本部にて、ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。2006年ロート製薬入社、執行役員マーケティング本部長(CMO)に就任。ロクシタンジャポンおよびメルヴィータジャポンにて代表取締役社長。アジア人初のグローバル エグゼクティブ コミッティ メンバーを経て、ロクシタン 外部取締役 戦略顧問。現在、SmartNews執行役員 SVPMarketing Japan and USA。
コミュニティマーケティングの強化
2017年を振り返って
「フォトジェニック」と「コミュニティマーケティング」という2つのキーワードが印象的でした。「フォトジェニック」は言葉のとおり、Instagramで多くの評価を獲得するために消費を行うスタイルのこと。自社においてもホームパーティー、ピクニックという人々が集い、結びつく機会の提案の中でも「おしゃピク」「おしゃキャン」「大人ハロウィン」などの仕掛けにおいて反響を実感しました。また昨年、Facebookが企業ミッションを変更したニュースも話題になりました。単なるつながりではなく、そのつながりを密にし、同一嗜好性をもった人たちとの「コミュニティ構築」や「コミュニティマーケティング」というトレンドを感じました。
2018年へ向けて
2017年から熱狂的顧客を増やしていく活動に取り組んでいます。特にパーティーやピクニックという人々が集い、結びつく機会に、興味関心度が高い自社ブランドのファン層をコミュニティ化する活動を推進してきました。一定の手ごたえを感じており、2018年はさらなる同分野での活動を拡大するとともに深耕していきます。また獲得した自社コミュニティの熱狂的顧客層を活かすために、デジタルテクノロジーを活用したコミュニティプラットフォームを構築し、密度の高いコミュニケーション活動を推進できる場を設けることで、コミュニティの活性化を図っていきたいと考えています。

Zebra Japan 株式会社 マーケティング部長 柘野 英樹氏
広告制作会社、広告代理店を経て、2004年にアディダス ジャパンに入社。PR、ブランドマーケティング、リテールマーケティングを担当。その後、スターバックスコーヒー ジャパンに転職し、年間プロモーションの設計、実行から、商品本部コーヒーチームでは新商品のグローバルプロジェクトをリード。2014年Zebra Japanに入社。北欧デンマークの雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン」のマーケティング責任者。