SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

ベンダー・広告主・メディアらが業界全体で取り組むアドフラウド最前線/日本で今最も問題の不正は?

アドフラウドへの注目度が急上昇したのはなぜ?

――アドフラウドに対する意識が、直近で一気に高まっているのはなぜでしょうか?

甲斐:デジタル広告はテクノロジーの進化に合わせて成長してきましたが、市場の成熟によって、改めて広告の在り方について考えることが増えているからだと思います。たとえば、広告主様のKPIが、CPCからCPAそして広告費用対効果であるROASへ変化していたり、広告フォーマットもディスプレイ広告からリッチ広告・動画広告へと変わっている状況の中で、正しい効果が測れない、不当請求につながるアドフラウドへの対策が本格的に求められてきているのではないでしょうか。

佐々:確かに、2017年の春から一気に広告主側からの熱度が高まった印象がありますね。広告主がアドフラウド対策に取り組むことのメリットとして、すぐに実感できるのが“無駄な広告費の削減”と“正確なデータの取得”です。

 「Adjust」の不正防止機能をオンにすると、まず今までのデータに不正インストールというノイズが混ざっていたことが即座にわかります。広告費に関しては、大手企業では毎月の広告支出が億単位になるところもありますが、仮に10%の不正を除外できたとすると、数千万のコスト削減につながるのです。

 これは、日本の複数の広告主で「Adjust」の不正防止機能により実現できていることです。こうした実例が業界内に伝わり、意識が高まってきているといえます。

 各アドネットワークに亘るインストール成果データが正確になることで、配信効率が高まるという効果もあります。不正を除外するにもコストがかかりますが、そのコスト以上の効果を維持できる環境を作ることが大事ですし、それが弊社の役割であると考えています。

――アイモバイルは、不正防止に関してどのような対策を行ってきましたか?

甲斐:フィーチャーフォン版アドネットワーク時代から、自社独自基準でアドフラウド対策を行っておりましたが、現在はアドフラウド対策強化に向けて、社内における技術、営業、審査担当を含め20名規模まで担当人員を増やしております。

 社内だけでなく、外部ソリューションの「Spider AF」というAIを活用した、アドフラウド検出ツールなどの導入もしており、対策の強化にも努めております。

 また、広告主のお客様に向けて「マルチコンバージョン機能参考記事)」を提供しています。こちらは、広告主の効果最大化に向けて、CV後のユーザーアクション(課金やチュートリアル突破、会員登録など)のデータを管理画面に返すことが可能な機能です。こちらを上手く不正対策にも活用するケースも増えております。

 たとえば、特定のメディアで1,000件のCVに対して、チュートリアル突破率が0%のメディアがあったとします。すぐに不正と断言できない場合もありますが、その他の案件におけるマルチコンバージョンのデータを含めてメディア側の不正判断の材料の一つとして活用しております。

不正防止を実現するために行うべき3つのこと

――アイモバイルは、Adjustが設立した不正防止連合(以下、CAAF)に参加されています。日本からはアイモバイルが最も早く加盟しました。初めに、CAAF設立の背景からお聞かせください。

CAAF参加企業一覧
CAAF参加企業一覧

佐々:弊社が不正防止に向けて取り組んでいることは主に3つです。まず、継続的な研究開発への投資を続けること。次に、アドネットワーク各社と協力して取り組むこと。最後に、広告配信と取引の透明性を担保すること。この3つの実現に向けて、CAAFを立ち上げました。

 現在CAAFに加盟しているのは、全部で15社です。日本ではアイモバイルさんをはじめ、他2社が参加しています。CAAF参加にあたっては、IAB(Interactive Advertising Bureau)のガイドラインへの準拠と、不正として除外されたもののログデータを受信するための環境を用意してもらうことなどが必要になります。

 「Adjust」で新しい機能が導入されたら都度対応してもらうなど、加盟各社と協力して不正問題に取り組んでいくという趣旨に賛同していただけることが重要です。参加企業が多ければ多いほど、不正対策の規模が拡大しますし、課題解決へのハードルも下がりますが、今はどちらかというと、趣旨にどれほど賛同してくださるかを優先している状況です。

――アイモバイルから見て、CAAFへの参加条件はいかがでしたか?

甲斐:そうですね、IABだけでなく「Adjustガイドラインに沿った複数の連携や技術的な環境構築」「CAAFワークショップ参加」「プレスリリース時のサポート」などなどの条件があったので、正直なところ、当初は時間がかかるのでは……という懸念もありました。ただCAAF加盟企業との情報交換ができるので、自社アドフラウド対策強化につながると思い率先して参加させていただきました。

佐々:アイモバイルさんは、国内の企業に広く使われているネットワークですし、以前から不正防止に取り組まれていることを認識していました。我々は、関連企業にただまんべんなく声をかけるのではなく、ターゲットを絞って声をかけています。

次のページ
日本で今最も問題視している不正は?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/03/12 21:47 https://markezine.jp/article/detail/27859

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング