サザエさん新スポンサー騒動でわかったあのときの事業主の気持ち
――立ち上げ時からLINEの広告事業の変化、法人営業チームでの思い出深いエピソードなどあればお話しください。
古賀:立ち上げたときはこんなにずっと続くとは思っていませんでした。スポンサードスタンプも、リリースしてから1年くらいはぽつぽつとしか売れませんでしたし。その効果をどういうKPIで見ていくべきかも、事業主サイドの方々と一緒に編み出してきました。そうしていくうちに、2014年頃には、広告枠がひっ迫して、皆さんがやりたくてもやれない状況に。
田端:瞬時に満稿になって。それどころか溢れまくって断らないといけいない状況になりました。枠数の1.5倍以上は来ていたので、3分の1はお断りするという。

古賀:費用対効果よりも「先んじてやるべきでしょ!」という、リーディングカンパニーによくある競合他社にやられる前にやらないと、という勢いがすごかった時期で。
田端:最近、アニメ「サザエさん」の新スポンサー決定のニュースがあったじゃないですか。LINEもスポンサーに名乗りをあげていたのですがダメで。「予算もとったのになぜですか!?」という、あのときの事業主側の気持ちを、今になって改めて痛感しました。
その2014年くらいから潮目が明らかに変わりました。それまで代理店さんのメディアプランのワンオブゼムだったLINEが、キャンペーンの中心的存在になっていきました。ただ、引き合いが急増する中で、体制の未熟さもあり事故やトラブルも多くなってしまって……。お詫びも2人で手分けしていくんですが、その予定すらも重なりかねない状況がしばらく続きました。
古賀:それも謝って許されるという問題じゃなくて「もうやると決めて、いろんな人も巻き込んでいるんだから具体的な代替案を出してください!」という感じで。一般的なネット広告なら、「どこかにバナーを出せなかったら他で補えばいいじゃん」みたいな話になるわけですが、LINEでやらないといけないものはLINEでしかできなかったわけで、限られた枠の中で何をどうすればいいか考えるのは本当に大変でした。
――どのように体制を強化されていったのでしょうか?
田端:元々は広告営業のメンバーが中心だったのですが、SIerであったり販促系専門代理店出身者だったり様々なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用していきました。
古賀:商談のリードタイムの長いプロダクトを売っていた人を採ることで長期的に見られる力を注入するとか。そうしていくことで、多角的にキャンペーンを組み立てるようになっていきました。
私も田端もいっぱい事故ったんで、もちろんそれによるラーニングで同じ失敗を繰り返さないためにどうしたらいいかも練っていきましたし。
でも振り返ってみると、波乱に満ちているときが一番刺激的でおもしろいというか。地殻変動がまさに起きている地点に自分が立てていて、チーム全体でそれを乗り越えていったのって素敵な経験だったと思います。

田端の真似をするわけではなくチーム全体で
――これまでのLINE法人営業の流れから、受け継ぐものと変化させていくものとは?
古賀: “田端というブランド”に頼れなくなるのはある意味事実です。ですから、田端のブランディングありきできていた世界観は当然変えていかないといけない。
今まで田端さんが一人でガンガン前に出ていってくれて、私もそこに甘えてきちゃったところもありました。これからは、田端さんの個性的なパワーありきでやってきたことを私やメンバーの誰か一人が受け継いで担っていくわけではなく、チーム全体で前面に出ていくようなスタイルを築き上げていきます。
田端さんの真似をするわけではなく、私ができること、チームのメンバーができることをそれぞれ役割分担して、田端さんが広げてくれた輪っかみたいなものをより大きくしていければと。ですので、私としてはメンバーが前に出るチャンスをいかに作っていくかが重要です。