活発化するデジタルサイネージ広告の活用
昨今、拡大している広告市場の一つに、デジタルサイネージ市場がある。現にここ数年で、電車の中や駅、屋外、店頭など、日常生活の至るところでデジタルサイネージを見かけるようになった。設置場所だけでなくコンテンツも多様化しており、メディアによるコンテンツの掲載や天候情報など、広告に限らず活用の幅を広げている。
数字からデジタルサイネージ市場を見てみると、2016年度のデジタルサイネージ広告の市場規模は600億8,100万円で、前年度比121.9%の成長を記録。場所によっては、キャンセル待ちが発生するなど、デジタルサイネージへの広告出稿は活発化している。
またその裏では、デジタルサイネージ活用への需要に二極化の傾向が見られるという。片方は、手軽かつ安価にデジタルサイネージを導入したい層。もう一つは、スマートフォンなどとの連携やマーケティングデータの取得など高付加価値な導入を望む層だ(参照:矢野経済研究所)。
スマートフォン連携、IoT活用などコミュニケーションツールとしての需要拡大も進む中、次世代デジタルサイネージとして「NewDaysビジョン」に興味を示し、いち早くコラボレーション企画を実施したのが、かのスクウェア・エニックスだった。
「NewDaysと異世界」謎のコラボはどのように企画されたのか
――JR東日本リテールネットが運営するJR首都圏各駅のNewDaysとKIOSKに設定され、一般広告や店舗の取扱い商品の広告を放映しているデジタルサイネージ「NewDaysビジョン」で、2017年12月、「異世界コンビニNewDays」というオリジナルの4コマ漫画が放映されました。これは、広告媒体である「NewDaysビジョン」と、スクウェア・エニックスの漫画アプリ「マンガUP!」のコラボレーション企画だと聞いています。
また、「なぜ完全新作のオリジナル漫画を『NewDaysビジョン』で放映することができたのか?」と広告業界では驚きの反応があったとも聞きました。今日はこのコラボ企画について、取り組みの詳細を伺っていきます。初めに、皆さんの自己紹介をお願いします。
綱島:JR東日本リテールネットの綱島と申します。主に「NewDaysビジョン」の販促を担当しております。具体的には、お客様が興味を引く情報コンテンツの開発、Web・Twitterなどとの連携、企業様とのコラボレーションなどを通して「NewDaysビジョン」を魅力的な広告媒体にすることが私のミッションです。
鮫島:鮫島と申します。私は、弊社スクウェア・エニックスから提供している出版物の広告宣伝マネージャーを務めており、WebやSNSを使ったプロモーション、書店でのコミック本の販促などを担当しています。
三神:スクウェア・エニックスで「マンガUP!」の編集を担当しております、三神です。私は、アプリの運営を中心に掲載作品の企画、担当作品の編集を行っています。今回の「異世界コンビニNewDays」の編集も私が担当しております。
――コラボレーションの具体的な内容に入る前に、改めて「NewDaysビジョン」の概要について教えてください。
綱島:弊社が運営するコンビニNewDaysと駅売店のKIOSKの壁面や屋根上に設置されている「NewDaysビジョン」は、JR東日本各駅に現在900台以上あり、全てネットワークで繋がっています。その中で標準70インチの大型サイネージ202台を広告媒体として販売しており、2016年10月の販売開始から既に140社以上の企業様にご利用いただいております。
エキナカは縦型のサイネージが多い中、希少な横型のワイドタイプでかつ音声でも表現できるため、広告主様がお持ちのテレビCMやWeb動画をそのまま活用したり、テレビ番組の宣伝やイベントの告知など音を強調したい広告などでも、ご利用いただいております。
そして「NewDaysビジョン」の最も大きな特徴は、やはり広告接触人数の多さです。2018年4月からは12台増設して、首都圏JR駅の113駅に214台が設置されることとなり、1日当たり約1,400万人になると計算しております。商品は1枠15秒220万円のネットワーク(週売り)、駅毎に設けている単駅の放映枠(月売り)、 1社貸切のスペシャルビジョン(週売り)の3種類があります。