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「100%顧客と向き合うのがCMOの役割」スマニュー西口✕ニトリ田岡のマーケティング視点の経営

2018/05/07 08:00

 本格的にデジタル時代に突入し、マーケティング環境が激変している現在。変化への対応が急務である一方で、変わらない本質があるのも事実だ。本連載では、スマートニュースの西口一希氏が経営者やCMOなどマーケティングそしてビジネスの最前線で活躍する人物を訪ね、「マーケティング視点の経営」についてディスカッションする。初回のゲストにはニトリホールディングスの田岡敬氏を迎え、多彩な経験から身につけたマーケティングの考え方、そしてビジネスに向き合う姿勢を前後編で聞いた。

EC売上約40%増、躍進続くニトリ

スマートニュース 執行役員 マーケティング担当 西口一希氏(写真左)ニトリホールディングス 執行役員 田岡 敬氏(写真右)
スマートニュース 執行役員 マーケティング担当 西口一希氏(写真左)
ニトリホールディングス 執行役員 田岡 敬氏(写真右)

ゲストプロフィール

田岡敬氏:1968年生まれ。東京大学を卒業後、リクルート、ポケモン、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ナチュラルローソン、IMJ、JIMOSを経て2016年4月からニトリホールディングス 執行役員を務める。EC、Web広告、公式SNS、スマホアプリ、顧客・購買分析、O2Oプロジェクトを担当している。

西口:この対談連載の発端は、今、この業界で様々な“ギャップ”が課題になっていることでした。たとえばデジタルマーケティングとマスマーケティングのギャップ、リアル店舗とECのギャップ。さらに、本来は密であるべき経営とマーケティングにも溝がある。そんなことを押久保編集長と話す中で、対談を通してそのギャップを越えるヒントを探ることになりました。

 おのずと、ゲストは経営を含めた経験豊富な方になる………ということで、初回にお迎えしたのが田岡さんです。まず、今はどういうことを担当されているんですか?

田岡:デジタル系全般を担当しています。EC、Web広告、公式SNSやアプリ、O2Oプロジェクトです。その一環で、顧客・購買分析も担当しています。

西口: 2016年4月にニトリに参画されたとき、あ、これはニトリがECを強化し、マーケティングを強化していくのだとすぐわかりました。御社は近年ずっと右肩上がりだそうですが、この2年の伸び率は特に顕著ですよね。業績も株価もがんがん上がって、店舗も相当増やされている。

田岡:この1年でも、50店舗ほど増えました。直近2月締めの決算発表時点では、世界523店となり売上が約10%増、EC売上は40%弱増でした。日本の市場自体は縮小傾向にありますが、家具とホームファッションという品揃え、それらを製造物流小売業として高品質と低価格が両立したPBで提供している点が強みで、当社は順調に成長しています。

店舗送客がECの主目的

西口:小売店業態のECは、その目的も様々だと思いますが、ニトリではどういう位置づけなんでしょうか?

田岡:EC売上増を第一義には考えていません。店舗送客が最重要テーマです。家具は、ECサイトで吟味してから店舗で試して買うケースが多いですし、逆に店舗で見て決めきれず、家で家族会議を開いて決めてECで購入することもあります。そのような店舗とECの補完関係については、入社してネット調査などで詳しく調べました。

西口:ニトリはアプリを介して店舗とECを連携していますよね。今、顧客のトラッキングはどの程度行っているんですか?

田岡:メンバーズカードを発行しており、家具は単価が高いこともあり、カードのレジ提示率は高い方だと思います。それに加えて現在はアプリも徐々に普及してきました。広告においては、GoogleのStore Visit(来店コンバージョン計測)を積極的に活用しています

西口:広告を視認したかクリックした人が、実際に来店したかどうかが全部わかる、という。

田岡:そうです。これによってリテールマーケティングがダイレクトマーケティング化(※) してきており、非常におもしろいです。Store Visit Rateが出ることによって、広告による店舗送客一人あたりのコストが分かります。来店者のうち何割の顧客が購買するかの相場が分かっていれば、おおよそのCPOも計算できます。

 GDN(Google ディスプレイ ネットワーク)等で自社サイト訪問基準で新規と既存を別グループで配信すれば、新規顧客獲得コストと既存顧客リピート獲得コストを計算することができ、その管理手法はさながらダイレクトマーケティングそのものです。

※Store Visitによって、以前は難しかった「ネットからリアル店舗へ」の状況把握が可能になったため、通販のように、顧客の広告への反応から購買まですべてを一貫して把握及び改善を行うPDCAを回すことが可能になったという意味。

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