ブランドの世界観は限界まで表現
次に板倉氏は「ブランディングはどうするか?」という不安に対する答えとして「ブランドを全開に押し出した演出を行うべき」と解説した。
「バスルームのいたるところに『LUX ルミニーク』のボトルをインテリアとして飾りました。その他にも、トークテーマをボトルの底面に貼って置いたり、正しいシャンプーの仕方に関するクイズを出したり、ルミニークの香りを当ててもらったり、コンテンツの中にルミニークは意図的にたくさん登場させました。」(板倉氏)
あまり商品に関する情報が多いと視聴者は広告感が強くて避けてしまうように思いがちだが、それだと施策に投資をした価値は薄れてしまう。逆にブランド感を前面に出して、その世界観を含めて好きになってもらうべきだと考え、板倉氏は「ブランディングを恐れない」という意思決定をしたのだ。
リーチの担保、ブランドリフトにも成功
当然のことながら、ただライブ動画をTwitter上で配信するだけでは視聴者数を増やすことはできない。そのため、板倉氏は「事前・事後のプロモーション」が非常に重要だと語る。
事前に関しては出演者のツイートやプロモツイートを通じて告知を広く行った。事後に関しては、生配信後に「見逃してしまった」「また見たい」という層に向けてアーカイブ動画への誘導を実施。このようにリーチを担保するための投資プランを緻密に組んでいき、そして回を追うごとに改善していったという。
ターゲットからのフォローが多いであろう出演者が事前告知を行えば、一定の視聴者は期待できる。さらに、配信動画のリツイートなどを通じて当日拡散することもある。そして、見ることができなかった、また見たい層への受け皿も用意している。
板倉氏は「コンテンツは大胆に作り込む、でもリーチをとっていく投資プランは緻密に設計していくことで、費用対効果の最大化を目指すことが重要だと考えていた」と語った。
もちろん、リーチだけではなく、当初の目標であった「商品・ブランドのより深い理解」というところにもつながった。
「ライブ動画を視聴していない層に比べ、ブランド認知は1.5倍、ブランド好意度は5倍、ブランド理解は2.5倍、広告の記憶は5.3倍という成果を達成できました」(板倉氏)
これで、板倉氏が最初に挙げたすべての不安は取り除かれた。板倉氏はライブ動画自体を使うこと自体を推奨するわけではなく、インサイトを理解し、メッセージを伝える媒体として適切な媒体を選ぶことの重要性をセッションの中で強く伝えていた。
商材・ブランドによって向き不向きはありそうだが、ユーザーとの距離感を縮め、より理解を深めて好きになってもらう施策として、ライブ動画は今後活用の可能性が大きい施策ではないだろうか。
