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大幅なブランドリフトを実現 ユニリーバ担当者が語る、ライブ動画の活用法

マスではできない、近い距離でのコミュニケーション

 板倉氏は、2つ目の「マス広告との役割分担」の答えとして、ライブ動画を今回のキャンペーンに採用した理由を明らかにした。

 「ノンシリコンタイプのシャンプーおよびコンディショナーが主流になって、同ジャンルのブランド、商品間での競争が激しくなってきました。認知だけの戦いではなく、『ブランドが好きかどうか?』がより重要になり、その時に求められたのが、『LUX ルミニーク』の世界観やコンセプトをどう体験したもらうか?ということでした。

 マス広告で商品やブランドを認知させたり機能性を伝えたりすることができても、より近い距離で深くブランドを体験してもらうことは難しい。そこで、ライブ動画を活用することで、ターゲットの方とより近い距離で密にコミュニケーションが取れるのでは、と考えました」(板倉氏)

 ライブ動画は、再生中にコメントが送れる上に、そのコメントに対し出演者が反応することも可能なため、確かに距離の近いコミュニケーションを取ることができる。

 また、ライブ動画を採用すべきかどうかを判断するため、同氏はまずコンセプトである贅沢なバスタイムを伝えるターゲットの生活シーンに基づく「インサイトを押さえること」に注力したと語る。

 「リーチしたいターゲットは25歳から30歳の女性でした。この層のリサーチを進めた結果、主に午後8時から午後10時はスマートフォンを使いながらお風呂に入り、自分一人のリラックスする時間として過ごしている方が一定層いるということがわかりました」(板倉氏)

 さらに、ターゲットの女性にとってSNSを見ることが、より能動的でよりターゲットの生活シーンに近い行動および媒体であると考え、SNS上でのライブ動画を採用し、キャスティングもSNS上でファンの多いモデル・タレントを選定した。

 「ターゲットの女性が人気モデルやタレントをSNSでフォローするのは、遠すぎないけど違う世界にいる彼女たちの好きなことや日常を知って、その人と自分を近い存在だと感じており、その人に近づける方法を知りたいという感覚があるからだと思うんです。つまり、SNS上では彼女たちが純粋に楽しむリアルなところを見たいというニーズがそこには存在しているのです。

 そのため、ライブ動画ではできるだけ彼女たちの素に近い姿を見せることで、親近感を感じてもらえるようなコンテンツになることを意識しました」(板倉氏)

ライブならではの恐ろしさを逆手に取る

 しかしながら、ライブ動画の中で伝えたいブランドメッセージをきちんと出演者に語ってもらえるのだろうか。板倉氏も6つの不安の中に挙げていたが、同氏はこの不安を逆手に取った。

 「先ほど、素に近い姿を見せるとお話ししましたが、台本を作り込んで、それ通りに番組を進行してもらおうとすると作り物感が出てしまいます。そのため、あえてコントロールしすぎませんでした」(板倉氏)

 配信した動画内では、特にストーリーや台本を細かく設定することなく、簡単な『お題』を設定して、出演者に自由に話してもらう構成にした。これによりインサイトで抽出したターゲットが見たいキャストの姿を見せられるようなコンテンツになることを目指した。

 「多少進行がグダグダになっても、それが飾られていないリアリティなので、それでも良いと割り切ったことで彼女達の日常を『のぞき見している感じ』を演出できました」(板倉氏)

 語るメッセージをコントロールしないことで、いくつかハプニングもあったという。しかし、結果的にはその「ゆるさ」が功を奏した。

 「この本音トークが意外に効果的で、視聴者が増えたトークとして、出演者がパスタの『カルボナーラ』と『ペペロンチーノ』どちらのカロリーが高いかという話が合ったのですが、これも台本にはまったくなく、彼女たちの会話の中から自然発生的に出てきた内容でした」(板倉氏)

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ブランドの世界観は限界まで表現

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/04/26 07:00 https://markezine.jp/article/detail/28272

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