Google Cloudとパートナーシップを結んだワケ
―― 基調講演で製品のロードマップが示されました。プラットフォーム拡張、エクスペリエンス向上、AIなど、いくつかの注力ポイントが挙がっていましたが、その中でプラットフォームのについて教えてください。昨年Google Cloudとのパートナーシップを結びました。AmazonのAWSやMicrosoftのAzureなど、選択肢が色々とある中でGoogle Cloudを選んだ理由はどこにあるのでしょうか。
プレスリリースでも発表済みですがGoogle Cloudとのパートナーシップは昨年から始まりました。Google Cloudは明らかに複数の点でリーダーであるという認識を持っています。最も重要な選択基準の1つは、世界中で実行されるマーケティングのアクティビティを事故なく稼働させるサイズとスケールを備えていた点です。Marketoは世界中で活用されているので、大規模データを扱うスケーラビリティをもっていることは非常に重要です。
また、GoogleはAIと機械学習の領域においてもリーダ―的な存在です。Googleと深い関係を築いていくことで、我々が実現したい最適なキャンペーンの支援、いわゆるアダプティブ(適合)キャンペーンを実現することが可能です。
マーケターの役割が拡大していると先ほど言いましたよね。現在においてもマーケターは色々な決断を手動でやらなければいけない状況です。どういうキャンペーンをやるのか、そのキャンペーンにどういうコンテンツを使うのか、いつそれをメールで送ればいいのか……。役割が拡大している中で、そのようなことに時間を割けるのでしょうか?
我々はAIと機械学習を活用して、その課題解決をしたいと考えています。勘違いしないでほしいのは、AIと機械学習がマーケターの仕事を奪うわけではないという点です。マーケターが培ってきた直感やインサイトは、何ものにも変えがたい暗黙知です。それはそれで活かしつつ、これまで手動でやってきた煩雑な作業や判断をAIと機械学習で代替します。我々のプラットフォームの理想形は、マーケターが本来果たすべき仕事に100%注力できる環境を作りだすことなのです。
この理想実現の一歩としてコンテンツAIという機能を既に提供しております。コンテンツAIを使えば「このキャンペーンにおいてはこのコンテンツを使った方が良い」ということを、自動で判断してくれます。さらにオーディエンスAIという機能もあります。過去のキャンペーンデータを元に類似オーディエンスを見つけ出し適切なアプローチが可能となります。
長期的にはAIや機械学習を使って全キャンページの自動化も考えています。「アダプティブキャンペーン」とはまさにこういった意味ですが、理想にはまだまだ遠くこれからさらに進化します。
GDPRへの対応
―― 昨今話題のGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)についても教えてください。個人情報の扱いについて昨今話題になることが増えています。Marketoもマーケティングのプラットフォーマーとしてデータを保有する立場になりますが、どういった対策を考えていますか。
当社としての見解は非常にシンプルで、GDPR対応の準備は万全です。GDPRというと個人情報に関する話題になりがりですが、当社はより俯瞰的な観点からセキュリティの一部として捉えています。セキュリティには3つのレベルがあると思います。まず1つはインフラレベルのセキュリティ。2つめがアプリケーションレベルのセキュリティ。3つめに個人情報関連。それぞれのレベルにおいて法令遵守の精神で対応しています。
―― 最後に教えてください。登山にたとえるのなら現在は何合目だと思いますか
基調講演の中でも触れられていましたが、プラットフォームに対して非常に大きな投資を続けています。今後より加速していく考えです。4,000億回以上のマーケティングのアクティビティデータを私たちのプラットフォームは保有しています。キャンペーンでのメール数だけを見ても、前年比で40~50%以上の飛躍を遂げています。

今後もお客様にプラットフォームを使い続けていただくことによって、データの規模がより大きくなっていくと予想しています。Googleとのパートナーシップはそういった見通しも踏まえていて、私たちのレベルが1つ上がったということを暗に示しています。まだ山に上り始めたばかり。今後もお客様とともに成長していきたいと考えております。