※本記事は、2018年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』30号に掲載したものです。
話題作りとデータ活用で史上最高の観客動員に
株式会社横浜DeNAベイスターズ執行役員
事業本部 本部長 木村 洋太(きむら・ようた)氏
米系戦略コンサルティングファームから横浜DeNAベイスターズに入社。事業本部チケット営業部長、経営・IT戦略部長、執行役員 経営企画本部長を歴任し、マーケティング・中期事業計画立案に加え、球場改修計画(「コミュニティボールパーク」化構想)策定、「横浜スポーツタウン構想」や新規事業開発、IT戦略策定などを手掛ける。2018年1月より執行役員 事業本部 本部長。
――2011年末、貴球団は横浜DeNAベイスターズとして新たに発足しました。翌年から、シーズンの観客動員数やファンクラブ会員は右肩上がりで、昨年の横浜スタジアム動員率は96.2%。チーム自体も昨年は日本シリーズに進出し、惜しくも敗れはしましたが盛り上がりを見せました。まず、事業側として2012年以降にどのように集客を伸ばしていったのか、教えてください。
ここまでの6年間は、大きく話題化とデータ分析・活用の2つに分けられます。最初の2012年シーズンは、どちらかと言うと話題作りに注力していました。皆が聞いて驚くような企画を立て、広報と協力して中畑清前監督をはじめとしたチームの露出を増やす取り組みを行い、スポーツ新聞やYahoo!ニュースのトピックスに載ることを目指していましたね。
少しでも関心を高めて、まず一度足を運んでもらい、「楽しかったね」と言える時間を球場でいかに過ごしてもらってリピートにつなげるかを考えていました。
実施するイベントも話題性あふれるもので、試合後にグラウンドでのプロテスト体験を行ったり、球場外の公園内に動物園を作って子ライオンに触れるイベントを開いたりしました。
また、「試合に満足しなかったら返金する」という企画も実施したこともありました。
――そうなんですね。野球の試合の満足感は、やはり勝ったか負けたかに大きく左右されるのでは?
一概にそうとも言い切れません。チーム成績が振るわないシーズンも動員数は伸びていました。逆に先ほどの返金企画を行った5試合は、3勝1敗1分けでしたが、返金を求める方が多く、賛否を呼びましたが、新球団として新しいことに取り組むという姿勢は見せることができたと思っています。