正直なところ、デジタルマーケティングに苦手意識があった
「オンラインで通販化粧品を扱うならば、Criteoは必ず取り組まなくてはならないプロダクトです。しかし、運用に苦戦していたこともあります」。こう語るのは、メディプラスでデジタルマーケティングを担当する茶谷翔平氏だ。
メディプラスは、2003年に創業した通販化粧品会社。オールインワンジェル「メディプラスゲル」をメインとした「メディプラス」ブランドのみを扱い、オンラインのほか電話での通販にも対応している。製品は、アトピーに悩んでいた同社の社長が自ら開発したもので、皮膚科などのクリニックを対象とした卸販売からスタートし、テレビCM・紙面広告を中心とした通販事業で成長してきた。
ゆえに、「正直なところ、デジタルマーケティングへの苦手意識があった」と茶谷氏。
それでもECの体制を整えた結果、ここ数年はオンライン広告経由の申し込みが過半数を占めるようになっている。デジタルマーケティングでは、Criteoに加え、リスティング広告や各種SNS広告を中心に、新規顧客の獲得をKPIとしているそうだ。
Criteo運用に必要とされる、高い専門性
しかしながら冒頭で述べた通り、Criteoで思うような成果を出せなかった時期もあった。その原因は、サイト訪問者に対し、リターゲティング広告を配信するだけに留まっていたことにある。
「当時は、Criteoでの改善施策はCPCの上げ下げのみしか行うことができていませんでした。そもそも、Criteoを運用するに際し、自分たちにできることは何なのか、現状でどのような改善施策があるのかがわかりませんでした」(茶谷氏)
Criteoは、ダイナミックアドと呼称される運用型の広告で、フィード広告とも呼ばれている。ユーザーの行動を計測するタグと、商品やサービスの情報などから構成されるフィードをもとに、機械学習で広告の最適配信を実現するプロダクトだ。コマースマーケティングを得意とするが、最適に運用するためにはテクニックが必要である。
そこで茶谷氏は、Criteo運用に関して技術的な知見とノウハウに富む、ソウルドアウトへCriteo運用を依頼。二人三脚で、Criteo攻略に挑んだ。
元エンジニアが率いる、ハイレベルなCriteo専門チーム
メディプラスのCriteo運用を担当している、ソウルドアウトの小野友嘉氏は、元エンジニア。ゲームアプリを開発していた経歴があり、その技術ナレッジを活かし、ソウルドアウトでCriteo専門のチームを率いている。
「ソウルドアウトの強みは、お客様のビジネスに合わせたCriteoの環境構築を行えることです。Criteoは機械学習がベースにありますので、常に情報をブラッシュアップする必要があります。我々は、運用の提案からタグの実装、フィード作成、効果改善までを一気通貫でサポートしています」(小野氏)
ソウルドアウトのCriteo専門チームは、一人ひとりが小野氏によるテクノロジー分野のトレーニングを受けているため、その知識はハイレベル。また、一言でECといっても、商材や商品数によってCriteo活用は様々だ。ソウルドアウトでは、担当者をBtoC、BtoBサービスごとに分け、運用ナレッジが蓄積される組織体制を敷いている。
「弊社は、ベンチャー企業や地方の中小企業のお客様に特化して、デジタルマーケティングを支援しています」と小野氏。実際に、ナレッジやリソースが足りないことが原因で、十分にCriteoの活用ができていない地方企業、中小・ベンチャー企業は多い。
こうした課題に対し、ソウルドアウトは企業規模に関係なく担当者をつけ、運用改善に尽力している。取引先は全国に亘る中、細やかなサポートを提供する背景には、同社のミッションステートメント「中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。」があるそうだ。
「これまで、広告主様と代理店の関係には隔たりがありました。ですがそもそも、デジタルマーケティング支援=広告の運用だけではありません。お客様のビジネスを理解した上で、ご支援することに重きを置いています」(小野氏)
ソウルドアウトがCriteo運用改善で実行した2つの施策
では、ソウルドアウトがメディプラスのCriteo運用で行った具体的な施策を見ていこう。
目標のCPOが達成できていないという課題に対し、まず小野氏は、メディプラスのCriteoのタグ実装に着目し、各ページのタグ実装を見直し調整した。さらに、ランディングページ(LP)のABテストも実施。具体的には、フィードをカスタマイズしてURLを2つ用意し、随時Google Analyticsでパフォーマンスをチェックしている。
「Criteo経由のアクセスには、“再訪”という特徴があります。そのため、SNS広告や検索からアクセスされるユーザーと、Criteo経由で再訪されるユーザーでは、ニーズや関心度が違います。その上で、ユーザーごとに適したコミュニケーション構造に関する仮説を立て、LPへ反映していくことが求められます」(小野氏)
Criteoは「どのページにアクセスしたユーザーを、広告の配信対象とするか」という視点で考える。そのため小野氏は、Criteo以外の広告も含めた全体のマーケティング設計を把握し、ページの内容やユーザー遷移を考えながら、タグの実装を行うそうだ。
コツコツ改善する過程で実感できた、Criteoの効果
ポテンシャルはあるものの、デジタルマーケティングに取り組めていなかった数多くの企業をスケールさせてきたソウルドアウト。茶谷氏は、小野氏をはじめとした担当者の専門性の高さに信頼を寄せている。
「デジタルマーケティングの支援会社においては、Web広告の作業が分担化され、対企業の担当者と実際の運用者が違うというケースがよくあります。また、営業担当者さんは多くのソリューションを提案してくださいますが、細かな仕様までは理解していない方もいらっしゃいます。
そんな中ソウルドアウトは、関係者全員がプロダクトに理解が深く、専門性も高いです。Criteoの導入と運用には専門的なノウハウが必要ですが、小野さんたちと一緒にコツコツ改善していく過程で成果が出るプロダクトであることを実感できました。我々も運用について日々学んでいます」(茶谷氏)
メディプラスは、ソウルドアウトへGoogle Analyticsの情報も共有し、常に最新の情報をフィードに反映できるような体制を築いている。ここから、信頼関係の深さがわかる。
ソウルドアウトに対しては、Criteo社も高く評価している。コマースマーケティングに特化したCriteoの本質は、CPCを抑えた集客ではなく、顧客のECビジネスを最大化させることだ。運用型広告のひとつとしてCriteoを取り扱っている代理店が多い中、Criteo専門チームを置くソウルドアウトは、広告領域に限定しない、広い領域でのナレッジがたまりやすく、その組織力が強みになると見ている。
また、Criteoのパフォーマンスを向上させるには、最適なタグの実装・フィードの情報が欠かせない。ソウルドアウトは、Criteo社に対し、担当クライアントの課題とその改善PDCAについて相談することが多く、Criteo社側も改善案を提案するといったサイクルを繰り返している。広告主・代理店・Criteo社の3者が協力し合う環境を自発的に創造している点も、ソウルドアウトの強みだろう。
さらなる新規顧客の獲得とCPOの改善に向けて
今後のCriteo施策の課題について茶谷氏は、「PCでの効果改善と、新機能である新規顧客配信の突破」を挙げる。
「スマホシフトが進んでいますが、PCでのお申込みも少なくはありません。まずは、PC面での安定的な顧客獲得を目指します。そして、さらなる拡大のため新機能である新規顧客向け配信も、検討していきたいと考えています」(茶谷氏)
Criteo社も、広告主の新規顧客の獲得に向けて、ソリューションの開発・アップデートに力を入れていく構えだ。たとえば、「Customer Acquisition」では、既存顧客の過去3ヵ月分の閲覧/購入データを収集・分析し、そこから購入見込みの高い新規顧客のみを抽出し、広告を配信することができる。また、商品カテゴリレベルでユーザーの興味関心を特定するため、CV率の最大化も実現するという。
この目標における、具体的かつ詳細な施策に関して、Criteoを含める3社間で既に活発な議論が交わされているようだ。ソウルドアウトとメディプラスとの関係からは、代理店と広告主という枠を超え、ビジネスを成長させていくパートナーとしての関係性がうかがえた。