自分の器を大きくするためスキルアップを続けて
――日頃、心がけていることとは?
任されている仕事に見合った器を持つ人物になれるよう、努力をすることですね。自身がやりたいことや大きい仕事をするからには、それに見合う器となり、一緒に働く方たちから信頼を得なくてはなりません。
そう考えるようになったきっかけは、前職での営業時代にあります。私はなんとしてもマーケティングをやりたいという強い希望がありましたが、会社のキャリアパス上、営業として大きな実績が求められていました。そこで上司に「1番大きなエリアを担当させてください」と直談判しました。ありがたく任せていただいたのですが、化粧品営業と一緒に仕事をする美容部員のチーフからは「まだ、あなたのことは信頼していないから」と初対面で言われてしまい、とてもショックでした。しかし、それが「信頼を得るにはどのように行動したらよいのか」と考えるきっかけになりました。それから他の人とは違う、自分なりの新しいスタイルを作ろうと意識しながら仕事をするようになったのです。
当時はまだ社会人2年目だったので、他の先輩方に比べて経験が足りません。しかし、知恵や考える力を身につけることはできると思い、仕事をしながら大学院の単科生になりました。大学院では他の企業の方と一緒にプロジェクトを進めるというはじめての経験をし、人脈の幅も広がりました。さらにマーケターとして本社へ異動してからは、本格的にMBAを取ろうと、ビジネススクールに通いました。

現在もポッキーという大きなブランドを任されていますので、それに見合う器になりたいとスキルアップは続けています。特に仕事以外の場に参加し、学んだことを仕事に活かせるよう心がけています。たとえば地元ポッキーは、地域活性化を目指した共創マーケティングや、社会への貢献に少しでもつながる活動に取り組んでいます。また勉強だけでなく、食品メーカーの人間としておいしいものを食べる機会を作るようにしています。
――今後の目標や、キャリアプランを聞かせてください。
当面は、ポッキーのヘビーユーザーを増やしていくことに注力したいです。日々、お菓子をとりまく環境は変わっています。オフィスグリコに見られるように、お菓子がコミュニケーションの起点となったり、緊急時の非常食になったりと、お菓子の持つ役割が増えていると感じます。また健康を意識したお菓子も見られるようになり、チョコレートにはポリフェノールや乳酸菌と、あらたな付加価値が登場しています。グリコの企業理念である「おいしさと健康」を、ポッキーでも創出できるとおもしろいですよね。新たなファン層が獲得できるのではないかと思います。
私にとってマーケティングの仕事の魅力とは、自分のアイデアを形にできること。手がけた商品やキャンペーンをお客様が楽しみ、そしてブランドのファンになっていただくことは喜びです。マーケティングは、顧客創造だと考えています。今後も、新しいファンづくりに努めていきたいです。