迷いながらもいばらの道を突き進んだ
―― Blaboの創業は2011年。元々は消費財メーカーのマーケターだった時代の課題感から生まれたサービスと記憶しています。当時「生活者を企画者にする」「お茶の間の声をダイレクトに反映させた商品作りを実現させる」などのお話をうかがって、まさに顧客視点ってこのことだなと感じ、印象に残っています。
私は元々ユニリーバでマーケターをしていました。商品開発の際には様々なリサーチを行うのですが、調査会社からあがってくるリサーチ結果がどうしても生活者の本音だとは思えず、ウソだなと思っていました(笑)。いわゆる「ズレ」を感じたのです。
当時は起業したいという考えは正直なかったのですが、マーケターが顧客起点から商品開発をできる仕組みを作りたいと思い、スタートアップを一社はさみ起業しました。
―― そこから順風満帆に業績は伸びていったのでしょうか。
いえいえ。もちろん、それ相応に苦労しました。最初はいばらの道でしたし何度も道に迷いましたよ(笑)。でも、そうこうしているうちになんとか、ある程度の場所までたどり着くことができました。山にたとえるならやっと高尾山を登りきったところでしょうか。登りきったと思ったら、次はエベレストが広がっていた。今はそんな心境です。
Blabo!の仕組みを通してヒット商品が生まれているので、だいぶサービスとして定着してきましたが、7年前は全然状況が違ったんですよ。「顧客視点はいいと思うけど、本当に実現できるの?」。そのような声も正直たくさんありました。
それが実績を積み重ねることで「Blabo!と組めば生活者の本音を突いた商品が作れる」という評価に変わっていきました。その結果、テレビ等で取り上げていただける機会が増えました。でも、主張していることは7年前と変わっていないんですよね。
「ズレの解消」7年前から変わらない思い
―― 変わらない点というと?
「『作り手』と『使い手』のズレをなくす」というミッションです。未だにコンビニでは年間60%程度の商品が棚落ちしたり、棚替えされてしまいます。どうして、一生懸命開発した商品が短命で消えていくのか。この原因は、普通の生活者の感覚が消えたまま、商品開発をしてしまうことにあります。
会議室でついつい同じメンバーばかりで話しながら商品開発していると、全国の”普通の主婦感覚”とは、どんどんズレていってしまいます。だからマーケターと生活者が直接つながって、いつでも対話ができる仕組みが必要だったのです。そのため、ミッションもサービスも根本的には変わっていません。
目まぐるしくトレンドが移り変わる時代なので、商品もサービスも時代に合わせようとする方が多いですが、逆の発想のほうが結果的に上手くいく気がしています。時代に合わせようとすると合わないので、先に準備して時代が合うのを待つ感覚ですね。
―― 変えることと変えないことを見極めるということでしょうか。
そうですね。外的環境は今後も変化しますし、それだけを気にしていても振り回されるだけです。多くの企業が岐路に立っている状況だから「顧客視点」という言葉に注目が集まっているような印象を受けます。でも、まずは自分たちの独自性を見つめ直してみることが、非常に大切ですね。そこがブレていると「顧客視点」に寄り添いすぎてしまうことになってしまいます。