Twitterから始め、アプリまでローンチ
――ガイドブックだけでなく、SNSやWebマガジン、アプリなど、デジタル上でのコンテンツ配信にも取り組まれています。最初にデジタルを取り入れたのは、いつ頃でしたか?
冨田:7年程前にTwitterを始めたのが最初ですね。ガイドブックは、1~2・3年かけてメンテナンスしていて、更新ペースがゆっくりしています。こうした時間の間を埋めるものが作りたく、Twitterで情報発信を始めました。
現在は、Twitterを54万人、Instagramを23万人の方々がフォローしてくださっています(2018年7月末時点)。Twitterの後、Webマガジンを始め、それに続きアプリをローンチしました。
――デジタルと紙媒体で、編集方針などの違いはありますか?
冨田:いえ、ガイドブックもデジタルも基本的にコンセプトは変わりません。世界観が共通しているので、両方見て下さっている方が多いですね。写真の雰囲気などの視覚的なイメージも情報のセレクトも、同じ考えの下、一つの編集部が行っているところが大きいのではないでしょうか。
ですが一方で、デジタルとガイドブックでは役割が異なると考えています。デジタルの情報はどうしても流れてしまう。だから、Webマガジンでは基本的にニュース性のあるコンテンツを中心に配信しています。とはいえ、ことりっぷはニュースサイトではないので、新しいというだけで出すというわけでもありません。ことりっぷらしさを前提に、情報をセレクトしています。
メディアとは別軸の、旅に特化したコミュニケーションツールも展開
――ことりっぷが提供しているアプリは、メディアと別軸のサービスも展開されていますよね。
冨田:ええ、アプリは、ユーザーのコミュニケーションツールとして提供しています。よくあるのは、Webメディアをそのままアプリ化する形です。しかし、Webと同じ情報を流すだけのアプリだと、他社さんとの情報量の競争になってしまいますよね。
また、アプリには基本的にことりっぷの世界観が好きな方たちが集まります。この方たちをつなぐツールにしたいという考えもあり、今のような形にしています。

――アプリ内でのサービスを具体的にお聞かせいただけますか?
冨田:ことりっぷのアプリで提供しているサービスは、2種類あります。1つ目は、ことりっぷのWeb記事配信サービス。もう1つは、ユーザーによる写真共有サービスで、2本柱のサービスにしています。
写真共有サービスでは、ユーザーが投稿した旅の写真にコメントしたり、いいねすることができます。加えて、好きな記事や投稿を保存する「クリップ」機能もあります。ユーザー投稿だけではメディアブランディングを保持できないので、我々が制作するコンテンツで指針を示しています。
――アプリでは、「スターユーザー」を設けるなどして、上手くコミュニティが機能するように設計されていますよね。
冨田:はい、一定の基準を設け、スターユーザーを選ばせていただいています。正直なところ、コミュニティマーケティングはそこまで意識していませんでしたが(笑)。スターユーザーの写真が、お手本もしくは目標になれば良いと思っています。スターユーザーにもっと活躍の場を提供したいという考えもありますが、それはこれからですね。