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定期誌『MarkeZine』巻頭インタビュー

伝統は革新の連続 テクノロジーで進化する吉野家のブランド経営

 1899年、日本橋に個人商店として「吉野家」が誕生した。来年は創業120周年の節目の年にあたる。その歴史から老舗のイメージが強いが、近年はテクノロジーへの投資も著しく、アプリなど対顧客のデジタルマーケティング施策とともに、店頭でのデジタル活用にも積極的だ。オペレーションやサービスの仕組みを効率化しながら、顧客に対応するのはあくまで人である点にこだわる。現社長に併走し、「社長の夢実現担当」を自任するCMOの田中安人氏に、ファンに支持されるブランド育成とデジタル化について聞いた。

※本記事は、2018年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』32号に掲載したものです。

飛び込み営業を機に「広告を全部任せる」

株式会社吉野家 CMO
株式会社グリッド 代表取締役社長 田中 安人(たなか・やすひと)氏

マーケティングコンサルタントとして組織のコミュニケーションをPDCAで回しながら業績に貢献する手法を実践。マーケティング領域で多数の業種、業界をコンサルティングしながら、吉野家ではCMOとしてマーケティング総括を担当する。また、公益財団法人日本スポーツ協会広報専門委員会委員として、日本のスポーツの未来設計を担っている。

――田中さんが吉野家ホールディングス(※吉の字は、正しくは「土(つち)」に「口(くち)」と書く)に参画されたのは、広告代理店を経営されていたとき、はなまるに飛び込み営業をしたことがきっかけだったそうですね。そのときに対応されたのが、現・吉野家ホールディングス社長の河村泰貴氏だったと。

 ええ。飛び込みといっても事前にかなり研究し、マーケティング施策を提案できるくらい考え抜いて行ったら、経営企画室長だった河村が話を聞いてくれました。意見を求められたので勝負に出ようと持論を展開したところ「明日からうちの広告を全部任せる」といわれたんです。

 広告業に携わる前、新卒で勤めていたヤオハンというスーパーが最終的に倒産してしまったんですが、経営企画として解散まで対応していたので、経営戦略に関してある程度は知見があったんですね。広告を任された当初は広告代理店を経営しておりましたが、その後独立して自分の会社で顧問契約を結びました。その間に河村がはなまるの社長になり、その後吉野家ホールディングスの社長になって、僕もそのまま社長の夢を実現すべく今に至っております。

――はなまるうどんでは、2013年のエイプリルフール企画「まるごとダイオウイカ天」や、子どもを連れて行けば50円割引になる「生こどもクーポンキャンペーン」など、その発想力で相当PR効果を上げられていたと思います。

 お金がないから、頭を使う。だから若いスタッフには、お金がないときほど素晴らしいアイデアが浮かぶから、しめしめと思えと言っています。

 広告戦略をしばらく担当して、同社はV字回復を遂げましたが、それでもコミュニケーションにたくさん予算を使える状況ではありませんでした。そうしたら話題化、PRしかないですよね。そこで思いついたのがダイオウイカの天ぷらでした。たまたまNHKでダイオウイカの特集を見ていたら、リアルタイムでネットがすごく盛り上がっていて、親和性があるんだと思ったんです。

大きな話題となった2013年のエイプリルフール企画「まるごとダイオウイカ天」
大きな話題となった2013年のエイプリルフール企画「まるごとダイオウイカ天」

 ただ、さすがにそれはと思って案を取り下げようとしたら、チームの皆がむしろ乗り気になって。1→10(企画制作会社のワン・トゥー・テン・デザイン)のクリエイターが日本海まで行ってダイオウイカ漁に挑む写真を撮ってくれたりして、ありがたかったですね。ネットで大きな話題になり、全店平均で180%、店によっては400%の売り上げを叩き出しました。手前味噌ですが、近年でも、あれほどネットの話題が集客につながった企画はYouTubeさんの事例でもないとおっしゃっていました。

 決して僕だけの力で実現できたわけではありません。実はダイオウイカのころから、企画を内製できるチームを組んでいます。僕らの夢や目指す方向に共感してくれるクリエイティブブティック、映像制作会社、PR会社などでクリエイティブチームを組織して、定期的に会議をしながら企画をまとめています。信じられる仲間たちが、本当におもしろがって乗り気になると、ものすごいクオリティの高いアウトプットを出してくれる。僕が河村に企画をプレゼンする際には、メンバーの皆にも同席してもらって、社長の判断基準や、息づかいや機微までを全員に感じてもらうようにしています。

 河村は今の立場になる前から、会社を勝たせてくれ、そのために最高のチームを作ってくれと僕に言っていました。僕はCMOという名の“社長の夢実現担当”なんですね。今も常に河村とは密接で、LINEは1時間以内に返すというルールがあるくらいです(笑)。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長 1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケター向け専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、定期誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新しいビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/08/24 13:00 https://markezine.jp/article/detail/29039

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