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インターネット広告の歴史と未来

Facebook、運用型広告を取り入れたことで爆発的に成長したSNS


Googleよりもユーザーと広告主のバランスを取るのが難しいFacebook

黒田:AdWordsの経験と照らし合わせると、Facebookには2つの大きなチャレンジがあったと思います。

 検索はある意味で単純で、たとえば「ロードバイク」と検索したユーザーにロードバイクに関連した広告を表示させるのである意味でシンプルです。ユーザーが既に欲しい情報の種類を意思表示しているからです。しかし、Facebookは受動的にコンテンツを見ているのでユーザーは意思表示をしていません。意思表示を明確にしていないユーザーに対して広告を配信するので、違和感のない広告を配信することがGoogleよりも実はすごく難しいんです。

 また、広告を表示する仕組みが良かったとしても、広告主がたくさん入って広告の種類自体が増えないとその体験をユーザーに届けることができないわけですから、それを実現するためのスケール感を持った広告主の獲得活動も大きなチャレンジでした。

 この2つのチャレンジは今もずっと続いていて、日々改善を続けていると思います。Googleとはまた違ったFacebookの凄さと面白味を感じましたね。

ユーザービリティを良いものにしたいという強い意志

杓谷:現在Facebookの売上はGoogleの親会社であるアルファベット社の売上の3分の1に迫ります。受動的に情報を受け取る姿勢のユーザーが中心のFacebookの売上が、能動的に情報を探しているユーザーが中心のGoogleの売上の3分の1、というのは実に驚異的だと感じます。

黒田:広告とユーザーエクスペリエンスってトレードオフの関係ですよね。ユーザーの意見に寄せすぎると、広告主からはもっといろいろやらせてよという声が上がってくるでしょうし、広告主の意見に寄せすぎるとユーザーが離れていってしまう。ユーザーと広告主の声をバランスよく調整していくのが本当に難しくて、それがある程度できているのがGoogleとFacebookということなのだと思います。

 言葉にしてしまうとある意味で当たり前のように聞こえてしまいますが、こういったことを目指そうとする発想自体がインターネットでサービスを提供している会社の中で相当珍しいことで、凄いことなのだと思います。

杓谷:インターネット広告をより健全なものにしていくための本質は、ユーザーと広告主のバランスを保とうとする姿勢そのものにあるのではないでしょうか。

佐藤:そういう意味でGoogleはやはり凄かったですね。エンジニアがユーザーサービスの向上のために様々な小さなテストをするじゃないですか。その時に「こうするけど、どうだ?」という質問が来るのですが、俺たちの試算だとこのテストによる売上の増加はゼロだけど、と平気でいってきますよね(苦笑)。その逆はまったく聞いたことがなくて、レベニューが上がるからこうしないか? という話は一切聞いたことがありません。

黒田:Facebookの場合も同じですね。ニュースフィードの中に広告を出す本数など数多くテストをしていますが、ユーザーエクスペリエンスのためのテストであって、レベニューだけのための変更は一切ありませんね。

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Facebookが「獲得」系と「ブランド」系の両方の広告主から支持されるわけ

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この記事の著者

杓谷 匠(シャクヤ タクミ)

Jellyfish Japan株式会社 Data Strategy Director
2008年に新卒一期生としてグーグル株式会社に入社。2010年にスタートアップの立ち上げに参画したのち、しばらく川原でひざを抱える日々を経験。2013年からトリップアドバイザー株式会社にてSEMアナリスト、BIアナリストを経験したのち、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/29 10:04 https://markezine.jp/article/detail/29312

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