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西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「経営者への信頼とビジョンの浸透が組織をつくる」スマニュー西口×ZOZOテクノロジーズ金山対談

言葉の力をよく知り、言葉に気を遣う経営者

西口:僕がZOZOというグループに好感をもっている要因のひとつは、顧客への態度なんです。4月に発表された中期経営計画で「10年以内に時価総額5兆円企業を目指す」と打ち出されたのも驚きましたが、その実現に向けて服の「買い方」「選び方」「作り方」の革命を起こすと強調された。特にひとつ目の「買い方」は、極めて顧客目線の言い方です。普通、企業の視点だと「売り方」ですよね。顧客を“フレンド”だとする概念があるのも有名です。

金山:CFM(Customer Friendship Management)ですね、部署名にもなっています。

西口:そういう言葉の表現は、完全に前澤さん起点なんですか?

金山:そういう場合が多いですね、彼はすごく言葉に気を遣っていて、プレスリリースもすべて目を通しますし、社内向けの発信も自分で書いています。言葉の力を十二分にわかって、その力をちゃんと使える経営者だと思います。元々、音楽で人を感動させようとしていたアーティストだったことも大きいと思いますね、言葉を含めて、人に訴えるセンスがある。

西口:CFMもそうですが、顧客にとってどうありたいかを定義するのは会社の根幹だと思いますし、それを社内に浸透させるのは経営者の重要な仕事ですよね。社内への発信という話がありましたが、具体的に浸透させるのには、やはり言葉で?

金山:確かにここまでは、前澤自身や直下の人間からの口頭伝承と、あと日々のコミュニケーションで少しずつ伝わってきたと思います。ただ、最近は組織もビジネスも拡大して、今までのやり方では追いつかないところが出てきたので、グループとして初めて決算発表会で中期経営計画を明確に発表し、あのあと同日に社内向けのトップライブもやっているんです。

組織の求心力の根幹にあるのは信頼

西口:そうなんですね。対外的な発表の裏側にある考えを、今度は社内向けに話すといった感じ?

金山:そうです、実はこんな思いでやっているんだ、と。これまでも半年に一度の社内総会でトップライブはしていましたし、特に年末の会ではいつも練り込まれたプレゼンテーションがされてきましたが、今後は先のような対外発表からインナーコミュニケーションへ、という流れも加わってくると思います。元々離職率は低いほうで社員の定着率が高いですが、さらに急成長するにあたっては一層インナーが大事ですね。

西口:社内を固めていくのも“第2の創業期”に必要ですね。外からは、前澤さん自身がある程度、PRを含めたマーケティングの部分を担っている印象がありますが、ZOZO社内にマーケティングの部署はあるんですか?

金山:あります。主にZOZOTOWNのマーケティング全般を担っていて、広告主としての事業活動と、外部企業とのコラボレーション企画などを進めています。ただおっしゃるように、たとえばプライベートブランドの「ZOZO」といった新事業は前澤主導で進めています。

西口:僕もいろいろな企業と仕事をしてきて、経営や経営者のあり方って本当に様々だと思うんですが、トップ主導が行き過ぎると社内との乖離が生まれることもありますよね。それが御社では、皆さん納得感があるような。それはなぜなんでしょう?

金山:やっぱり、人としての信頼があるからですね。あまり努力をしている姿を見せたがらないタイプだと思いますが、それでも誰よりもグループと事業のことを考えて動いているのは皆わかってる。それに、トップとしての厳格さはありますが、それを押し出すようなマネジメントはしません。

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ZOZO本社とZOZOテクノロジーズの連携

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29345

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