ZOZO本社とZOZOテクノロジーズの連携

西口:なるほど。だから、皆がついてくる。
金山:そう思いますね。性善説に基づいて会社を運営していて、いいときはともに喜び、締めるべき時は締め、悪いときは社員と心底一緒に考えてサポートする。それでいてお茶目なところもあって、信頼と同時に、皆が前澤のことを好きなんですよね。だから、彼がやるといったら皆も「やろう」と、一瞬で空気が変わるようなところはあります。
西口:金山さんも、VASILY時代から前澤さんとお付き合いがあったんですよね?
金山:そうなんです、ZOZOTOWNがそれほどアフィリエイトをやっていなかった時代に、IQONと直契約でアフィリエイトの大口クライアントになり、事業売上の大きな助けになっていました。
西口:それは、個人的な信頼関係から?
金山:いや、当時はお互いそこまで知らなかったし、まあ事業のことも僕のこともおもしろがってやってくれたんじゃないでしょうか(笑)。でも、僕自身は人生を前澤に助けられたと思っているし、そういう人間は社内に多いと思います。
西口:ZOZOという組織の強さが、少しわかった気がします。今、ZOZOテクノロジーズは多分にZOZO本社と連携して事業を進めていますよね。それはどんなふうに進めているんですか?
金山:普通にタスクフォースを組んで、やっていますね。この9月から、ZOZOTOWNのサイト内に検索連動広告を入れていく広告事業を始めていますが、これも一緒に。オフィスの場所は幕張と表参道で離れていますが、やりにくさはまったくないです。
自分が活きる場で才を発揮する文化が根付いている
西口:タスクフォースのリーダーはどちらから、とかはあるんですか?
金山:えーと、どちらからともなく(笑)。これも前澤の言葉ですが、プロジェクトはキャンプみたいなものだ、と。テントを立てるのが得意な人はテントを立て、火起こしが得意な人は火をおこす。それぞれが自然発生的に得意な場所に行って才能を発揮すればいい、という考え方が根付いているんです、ホラクラシー型というか、ティール型というか。
西口:興味深いですね。普通は、そんなに自然にはうまくいかない気がする。その考え方はビジョンなどに明文化されているんですか?
金山:直接的にではないですが、根っこにはあるのかもしれません。グループの企業理念は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」と掲げていて、経営理念が「いい人をつくる」なんです。いい人と一緒に仕事をしよう、いい人をつくれる会社になろう、と。持てるスキルは共有して、助け合いながら人を育てていく文化があります。
さらに、社外秘ですが、前澤が社内向けにこれをブレイクダウンしたカルチャーブックがあります。いい人をつくる、ってすごくいろんな解釈があると思いますが、たとえばあまりに自分の職務を線引きして「それはオレの仕事じゃないから」という態度は、我々の言うの“いい人”とは合致しない。それより「何かできること、ある?」という態度から入るのが、ZOZOグループらしいと思います。
西口:なるほど。皆が自然と自分が活きる場で行動することが、当たり前になっているんですね。

後編では、社内風土に大きく影響する採用の方針や、最近金山さんが整備したという評価制度、さらにファッションテックと今後の購買体験がどうなっていくのかを議論していきます。公開は週明け10月15日(月) 14時です。お見逃しなく!