生活者のデジタルシフトが加速する今日、顧客とのデジタルチャネルを通じたコミュニケーション促進に取り組む企業は増えている。ただし、デジタルメインのビジネスか、またはリアルな店舗の売上が主な企業かによって、成果が出せる手段や手法は違ってくるはずだ。2018年9月に開催された「MarkeZine Day 2018 Autumn」では、デジタルを活用したロイヤルティ構築をテーマに、トラストバンク、すかいらーくホールディングとビジネス構造や顧客獲得方法が異なる2社が登壇するセッションが行われた。両社の取り組みを通して、自社に合ったロイヤルティ構築のヒントを探っていく。
すかいらーく、トラストバンクにとっての“顧客ロイヤルティ”とは


(中央)すかいらーくホールディングス 取締役常務執行役員 CMO 和田千弘氏
(右)モデレータ:翔泳社 MarkeZine編集部 副編集長 安成蓉子
――パネリストのお二人より、自己紹介をお願いします。
武内:トラストバンクでマーケティング戦略室室長を務めている武内です。当社はふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を運営している会社です。僕は広告・PR回りの管轄をしている部門の統括をしています。
和田:すかいらーくホールディングスの和田です。「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」といったフードサービス事業を展開している企業になります。現在はそこで、マーケティングの統括をしています。
――はじめに、それぞれの会社にとっての“顧客のロイヤルティ”の定義について、教えていただけますか。
武内:先に「ふるさと納税」について説明すると、納税という名前はついていますが、実態としては寄附の制度です。応援したい、関わりたいと思ったとき、その地域に対して寄附ができます。ただ寄附して終わりではなく、それに対して住民税や所得が控除や還付されるので、結果として自己負担が少なく地域を応援できるものになっています。それに対して寄附金をもらった地域は、返礼品として特産品などを返す。これが簡単なふるさと納税の仕組みです。制度自体がちょうど10年を迎えまして、市場規模はかなり拡大しました
一般企業においてユーザーにあたる「寄附者」という方たちがいて、「地方自治体」の方たちがいる、我々はその間をサービスで橋渡ししているようなビジネス構図です。
なので、我々の考えるロイヤルティには2軸あります。ひとつはユーザーに対して「ふるさとチョイス」自体のロイヤルティを上げていくこと。もう一つが、私はあえて“当事者づくり”という言い方をしているのですが、寄附先の自治体のファンを作り、自治体の応援してくれる方をどれだけつくれるかです。

和田:顧客ロイヤルティを議論する際、我々が非常に大事にしていることは、食事をする価値をご理解いただくことです。ファーストフードやコンビニなど、色々な食の選択がある中で、あえて我々の店舗に来ていただく方にどんな価値を提供したいか。そこには、食事は一人で食べるより複数で食べるほうが必ずおいしいはずだとの信念がありまして、来店頻度を高めるだけでなく、複数で来ていただけるようにすることがポイントだと考えています。
絶対にご理解いただきたい価値と考えているのが、「健康・安心安全へのコミットメント」を感じながらおいしさを感じていただくこと。その次に「お値打ち感」「時代に適した食事」であること。最近では「環境保護へのコミットメント」も、ロイヤルティを高めるための重要な価値だと思っています。
それに基づく形で、我々のバリュープロポジションを理解いただくための要素を「商品」「人々と行動」「販売チャネルと接触環境」「コミュニケーション」の四象限で整理していまして、一貫して“複数で食べると必ずおいしい、いきいき健康をサポートする”という価値観とバリュープロポジションを訴求できればと考えています。それが伝わればロイヤルティは高まるはずですし、どういう形でお客様に伝わっているかの計測も行っています。
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畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)
フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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