ツールを導入すればうまくいくわけではない。課題が見つかったら検討を
――現在どのようなテクノロジーを活用されているのでしょうか。
小川:現在は自社サービスであるSansanでの人脈情報を中心に、6つのツールを活用しています。その中でも、カスタマーサクセス専用のプラットフォームである「Gainsight(ゲインサイト)」導入によりマネジメント業務がかなり効率化されました。
Gainsightを入れなくても、MAやCRMを駆使すればカバーできることはできるんです。ただ、それらはカスタマーサクセスに特化しているわけではないので、どうしても欲しい情報が分散しています。分散している情報をそれぞれ取りに行って確認して……という手間を自動化しないと、事業がスケールしないと判断してGainsight導入を決めました。

――では、カスタマーサクセスチームを設立したらすぐにGainsightのような専用プラットフォームを導入したほうが良いのでしょうか。
小川:いや、はじめから導入してもうまくいかないと思います。事業を進めていく中で課題にぶつかり、そこで初めて課題解決のために何を導入するのかを考えるべきだと思います。あくまで、ツールは課題を解決するための手段。カスタマーサクセスに限らず、MAでもなんでもそうですね。
ですが、ツール導入をはじめ、テクノロジー活用の全体像を描くにあたり、様々な方面を整備しなければいけないので、テクノロジーに強いメンバーを採用し、育成していくことは必須ですね。
――カスタマーサクセスマネージャーにも、テクノロジーへの理解が必要でしょうか?
小川:お客様にデジタルトランスフォーメーションを促していくので、そういう観点での理解は必要です。ただ、あくまでお客様と向き合い、成功へ導くのが我々の仕事なので、各ツールの導入、設計までできるほどのスキルはいらないですね。
一方で、カスタマーサクセスチームはお客様を成功に導くことが最も重要であり、成功のために事業内容、組織、企業カルチャーに踏み込んでいく顧客志向、実行力、探求心、リーダーシップ、バランス力が必要になります。
――コンサルティングに近いですね。
小川:そうですね。なので、カスタマーサクセスにおいてはサービスチャージとは別に導入支援費用を頂いています。カスタマーサクセスにおいては、私たちだけでなくお客様にもコミットしていただく必要があります。本気で取り組んでいただく土壌を形成するうえでは、費用をいただき成功に向けたコミットをしていただくのは必須だと考えています。