Qlik Technologiesは、企業のデータリテラシーに関する研究「データリテラシー指数(Data Literacy Index)」の結果を発表した。
同研究は「データリテラシー・プロジェクト」の一環として同社が主導したもの。企業のデータリテラシーとは、企業で働く様々なレベルの人が意思決定のためにデータを読み取り、分析・活用する能力と、そのデータ知識を組織全体に伝え生かす能力の両方を意味する。
また、データリテラシー指数は、企業が意思決定のために必要なデータとデータ活用能力をどの程度備えているかを数値で評価するモデル。データリテラシーの算出においては、ウォートン・スクールが調査内容を定め、IHS Markitが調査を実施した。主な研究結果は以下の通り。
データリテラシーの高い企業は企業価値も高い
データリテラシーが上位3分の1に入っている組織は、企業価値が3%から5%高い結果に。また、高いデータリテラシーは、粗利益や資産収益率、配当、利益率など他の業績指標においても正の相関性が見られた。
データ技能が報酬に結びつかない現実も
企業の意思決定者の92%が従業員のデータリテラシーの重要性を認識している一方で、現状、データリテラシー向上における責任や負担は従業員個人にある。よって、ビジネスリーダーは、従業員の向上のためにリソースを投入することに後ろ向きになる傾向が。同調査でも、データリテラシー研修を実施している企業は全体の34%、データリテラシーの高い従業員に高い給与を払っている企業は36%にとどまる結果となった。
加えて、従業員のデータリテラシー向上を明らかに推奨していると回答した企業の意思決定者は、わずか17%だった。
リテラシーがあっても、データ活用には壁が
過去5年間にデータ活用の方法に大きな変革を行った企業は、8%にとどまった。すべての事業部門にデータリテラシーのある従業員を雇っている企業でさえ、データを使いやすい情報へと効率的に加工することはあまりできていない。
データ成熟度が高いのは、ヨーロッパ企業
次に同調査から、ヨーロッパは企業のデータリテラシーの成熟度がどの地域よりも高く、特にイギリス、ドイツ、フランスの企業で高いことが判明した。これよりやや低いのが米国とアジア太平洋地域で、両者は統計的にほとんど違いがない。ただし国別で見ると、一番データリテラシーの高い国は、シンガポールであった。
また、「データの価値が重要だと感じている」と答えたヨーロッパ企業の意思決定者が72%である一方、アジア太平洋地域では60%、米国では52%だった。ここから、ヨーロッパ企業の意思決定者が、データの価値をより深く認識していることが確認された。
日本企業のデータリテラシーはグローバルで最低
アジア太平洋地域は、この5年間でデータの重要性が最も大きく伸びている地域であり、米国や欧州・中東・アフリカよりも速いスピードで成長している。
しかし、データ活用の方法について変革を行った企業は10%、データリテラシーの高い人に高い給与を払おうとする企業は20%と、労働力の現状と企業の扱いとの間にギャップがあった。
その中でも、シンガポールは世界で最もデータリテラシーの高い国で、「企業データリテラシースコア(※)(以下、CDLスコア)」は84.1と、イギリスの81.3、米国の72.6を上回っている。アジア太平洋地域のその他の国はインドが76.2、オーストラリアが72.4。日本は54.9で、グローバルで最も低い結果だった。なお、アジア太平洋地域の産業別では、CDLスコアが最も高かったのは銀行および金融業だった。
(※)企業データリテラシースコア:従業員のデータスキル(人的資本)、データ主導の意思決定、データスキルの拡散度(データ活用が組織全体に広まっているかどうか)の3要素からなる評価を基にした指標。
データリテラシーは、産業により大きな差が
企業のデータリテラシーを産業別に見ると、地域別よりも大きな差が確認された。データリテラシーが高かったのは行政、技術サービス、金融。一方医療、小売り、不動産などの産業は低かった。
【調査概要】
(1)企業の意思決定者へのアンケート
調査期間:2018年6月27日~7月18日
対象となった企業:従業員数500人以上のグローバル上場企業から、銀行・金融、製造、小売り、輸送、医療、エネルギー、建設、ユーティリティ、通信などの業種
実施総数:604(米国とヨーロッパが200ずつ、アジアが204)
(2)企業データリテラシー・スコア
(3)企業業績の指標
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