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西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「『できるよ、やってごらん』の言葉に背中を押されて」スマニュー西口×UCC石谷 P&G同期対談


「旦那さんと一緒に海外行ったら?」目から鱗の提案

西口:言ってなかったんだ(笑)。

石谷:だって、辞めるつもりが全然なかったから(笑)。どうするかは追って考える、と話したら今度は週明けに、「考えたんだけど、旦那さんと一緒に香港とか行ったらどう?」と提案してくれたんですよ。

 夫はエージェンシー勤務で、海外でも大抵はP&Gと同じ都市に支社があったから。当時の上司はチャイニーズ系シンガポール人でしたが、旦那さんと一緒に海外勤務したら、なんて私に言ってくれる日本人は一人もいなかったから、その提案はすごく目から鱗でした。なんて視野が広いんだろう、って。

西口:なるほどね。

石谷:そんな発想ができるのは、これまでの経験で視野を広げてこられたからということですよね。当時はまだ自信もなかったから、そのまま神戸と東京の生活を続けましたが、この一言で「私も視野の広い人になりたい、そういうマネジメントになりたい」と思うようになりました。

西口:いずれもっと上へ、という意識が芽生えた?

石谷:うーん、上へというよりも、自分がしてもらったように部下をモチベートできる人になりたい、ということかな。しばらくして妊娠したときも、ブランドを立ち上げたばかりだったからちょっと言いにくいなと思っていたら、今度はカナダ人の上司から「おめでとう! 体は大丈夫? スムーズに戻ってこられるように一緒に考えよう」と言ってもらえてすごく安心しましたね。2人とも男性の上司でしたが、強く影響を受けています。

ブランドマネジメントがLOBのP&Gのキャリアパス

西口:そういうところから、キャリア観やマネジメントのイメージが生まれていったんですね。

石谷:そうですね。そもそもブランドマネージャーになったのも、当時の上司がやってごらんよと後押ししてくれたからでしたし。P&Gはマーケティングが事業の根幹だから、ブランドマネージャーの次はカテゴリーマネージャー、次は複数カテゴリーを束ねるジェネラルマネージャーへと進むのが普通だという土壌があって、かつ「皆そういうふうに育つものだよ、できるよ」という後押しがある。

 一生働くというコミットメントをもって入社する男性と違って、女性はそういう活躍の場もまだ一般的ではなかったころでしたし、その感覚も私は特になかったけど、ブランドマネージャーになってからは一度も辞めたいと思ったことがないんです。

西口:なるほど。一般的にはまだマーケティングはコストセンターと思われがちで、どうやったら経営にコミットできるかという話がありますが、P&Gだとブランドマネージャーはブランドの経営者という考えが浸透しているから、確かに若いうちから自然と経営の観点を持つようになりますね。東京を経てアメリカに行ったのも、そういう延長にある?

石谷:そう、やっぱりブランドマネージャーからカテゴリーマネージャーを経験していく中で、本社のプレジデントなり経営陣がどういう判断をしているのかを直接知りたい、と思うようになったことがいちばんの理由です。それと、ワークライフバランスを考えると、アメリカのほうが子育てしやすいかなと思ったこともありますね。

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次の環境へ進み、自分の殻を破っていく

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/13 10:44 https://markezine.jp/article/detail/29665

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