テレビCMが購買に及ぼす影響を解き明かす
籠屋氏は今後の展望として、MadisonだけでなくSPIDERの事業も含めて、テレビ業界によい循環を生み出していきたいと語る。
「一般家庭用のSPIDERも普及させていきたいですね。私自身も自宅でSPIDERを使っているのですが、テレビがすごく楽しくなるんです。おもしろいCMもたくさん見つかるようになります。これが全国のユーザーに広がれば、地方でこんなおもしろい番組やCMがあった、というテレビの話題でもっと盛り上がりやすくなります。それがテレビ業界の活性化にもつながっていくことでしょう」
SPIDER はアップデートにより日々進化していっている。一般的な商品は、購入したときに満足度のピークを迎えるが、SPIDERは使い込むほどに満足度も高まっていくサービスを目指しているそうだ。さらに籠屋氏は、MadisonでCMデータを企業へ提供する一方、SPIDERが普及することで視聴者がどのような番組やCMを見ているか、どんなシーンで見ているかといったデータも集計できると考えている。
「視聴率とは別の切り口のデータや数字によって、広告主や番組の制作サイドに有益なフィードバックをしていきたいですね。いい番組、いいCMが正しく評価され、たくさん視聴されることで、上手くお金も回れば、テレビ業界全体にいい循環が生まれるのではと思っています。それが究極の目標です」(籠屋氏)
若手の神保氏は、自身のミッションとして「企業のCM戦略が未来のビジネスにどのような影響を及ぼすのか見通すことができる、予測モデルを考えていきたい」と語る。
「物理学は未来を予測する学問です。テレビCMというのは私にとって未知の分野でしたが、広告が購買行動やビジネスにどういう影響を及ぼすのか明らかにしていきたいですね。大学院時代、生物という自然界で最も複雑なシステムを研究していました。広告が人々の意識や行動に及ぼす影響も同様に非常に複雑なものです。物理学者としての経験を活かして、これらを解き明かしていきたいと思います」(神保氏)
全国にテレビCMを展開している企業なら、Madisonをすぐに活用し、戦略立案に必要な多くの知見を得られるだろう。さらに、これからCM展開を検討している企業や新しい分野でブランドを確立する企業にとっても、事前に競合分析できるMadisonは強力な武器になるだろう。