競合ベンダーを踏まえた市場観
――マーケティングソリューションのベンダーとして、グーグルやセールスフォース・ドットコムなども台頭しています。こうした状況の中で、どのような手応えを感じていますか?
スティーブ:たしかに、この領域には多くのベンダーがいますし、それらに関するアナリストのレポートはとても興味深いです。ガートナーやフォレスター、IDCなどが様々なテクノロジーを評価していますが、そのいずれにおいても、アドビは明確なリーダーとして位置付けられています。そのカギは、良質な体験の提供を実現するための努力にあると思いますし、結果としてブランドがエンドユーザーに優れた体験を提供できるソリューションが評価されていると捉えています。
――では、その市場観を踏まえて、ここ数年間で注力してきた動きをお聞かせください。
スティーブ:第一には、ユーザーの理解です。私たちの場合、ブランドがその顧客や潜在顧客を含めたオーディエンスを理解することにつながります。
次に、その上で適切なリーチはなにかを把握して働きかけることです。単純なレポーティングだけでなく、ビジネスを前進させるパワーとして、オーディエンスのデータ収集・分析を提供しているからこそ、前述のアナリストの評価を得ることができているのだと自負しています。
Marketoの買収をどう見るか
――具体的に、どのようにオーディエンスを惹きつけるのですか?
スティーブ:たとえば、Adobe Experience CloudのひとつであるDMPの「Adobe Audience Manager」では、ターゲットのオーディエンス情報を用いて、これまで把握できていなかった新規の潜在ユーザーを発見できます。さらに「Adobe Advertising Cloud」では、多種多様なチャネルで彼らにリーチすることが可能です。また、そのリーチが本当に効果的だったのかをテストするエンジンもあるので、これらを融合してビジネスの拡大と体験の充実を図ることができます。
――アドビのソリューションの拡充として、Marketoの買収は注目を集めました。我々は、この買収にどのような期待をすればいいでしょうか。
スティーブ:Marketoは、BtoBtoCの支援を中心としてきた当社がこれまで尽力し、開発してきた様々な製品群を補完する存在です。また、既存ソリューションとの連携・統合によっても、大きな相乗効果をもたらすと期待しています。
正直に申し上げて、Marketoを当社のポートフォリオに含めるのに、巨額な投資をしました。これは、Marketoが真に最高のBtoBマーケティング支援テクノロジーだと認識しているからです。特に日本では、BtoB企業の厚い支持と信頼を得ていますから、すばらしいビジネスになると確信しています。