※本記事は、2018年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』36号に掲載したものです。
データが後押しするテレビの力
「テレビCMの効果はブラックボックスだ。費用対効果が透明にならないと投資できない。出稿を減らしている」という声がある。一方で、「テレビCMでのリーチには破壊力があり、コミュニケーション上外すことはできない。リーチ数を考えるとむしろ安い」という声もある。広告主によって、テレビの効果について見解は様々だ。
テレビに関するデータは、IoT機器の普及により、徐々に集まり始めており、効果を検証できる環境が整いつつある。そのデータを利用することで、テレビCMが効く商材、効かない商材の明確化や、ブランド認知や購買へのリーセンシー効果といった目的による使い分けも進んできており、テレビCMを科学的に活用する広告主が増えている。
現在のテレビCMの取引は、世帯から個人へ変わってきている途中ではあるが、いまだ世帯視聴のGRPで価格が決まることが多い。自社の商品ターゲットの視聴実態をよく知り、世帯視聴と比較して、広告を届けたいターゲットの含有率が相対的に高い広告枠を見つけ出せると、お得にテレビCMを利用できる。RTBが進んだWebの世界だけでなく、テレビの世界でも、テレビの効果をよく知り、データを駆使し、戦略的に利用している広告主が、テレビCMの通貨と効果のギャップを突くことで、競合他社より優位に立てる世界になりつつある。
本稿では、最近のテレビCMやテレビ番組の活用傾向と、その効果を可視化した事例を紹介したい。