テック&データを制覇する巨大企業が未開拓の領域は“コミュニティ”
「テクノロジー」や「データ」というテーマはマーケティング上で今後も必須課題であるが、「巨人」企業ほど、テクノロジー&データもろとも制覇しやすくなる。その一方で特定の消費者(地域・コミュニティ)に向けた特定のコミュニケーションの部分は、巨人企業には手が届きにくい分野として注目されてくる。個々のセグメントに対する「クリエイティブ」の領域だ。
WPPを辞任したマーティン・ソレル氏の動向がその象徴だろう。氏は欧州に上場する「S4 Capital」に資本参加して広告・マーケティング業界に復活を果たした。そのソレル氏がS4 Capitalを母体にして買収した第一号の企業は「MediaMonks」という欧州のクリエイティブ&デジタル・エージェンシーに分類される企業だった。このMediaMonksは「Uber」「Snapchat」「Mercedes Benz」「Google」「Adidas」等、デジタル起点のクライアントを持っており、消費者を直接(パイプとして)捉える「Own&Operated(自社所有運営)」媒体を持つ。直接つながるオーディエンスに向けた映像コンテンツ(番組からAR/VRに至るまで)を制作・放映している。
ソレル氏の動きはエージェンシー・グループから見た大手テック企業に対する次の一手を示している。エージェンシーが今後追いかけるオーディエンスは「ファネル型の理論」だけではなく、D2Cを踏まえた「パイプ型のつながり」を考慮する傾向が増えるだろう。