デジタル化時代の経営環境で、自社の事業定義を再創造する
CDO(Chief Digital Officer)は、データを活用した新たな事業の創造や、顧客接点のデジタル化から組織全体の変革並びにプロセスの抜本的な変革、デジタル人材の育成までを担います。そのミッションは、デジタル化が進む環境の中で「自社のデジタル変革」を「経営の視点」で「全社的規模」で推進し、デジタル化後の経営環境での「自社の事業定義を再創造する」ことです。
欧米では企業だけでなく、国や行政、大学や公共機関などにもCDOは設置されており、CDO Clubの欧米のメンバーは既に6,000名を超えています。一方日本でも、2018年に入ってから国内企業でCDOまたはそれに類する肩書きを任命された方が徐々に増え、まさに「CDO元年」が到来していると言えます。
その背景にはデジタルディスラプターと呼ばれるUberやAirbnbのように、経営資源を自身では持たずに既存産業に参入してくる企業の出現があります。デジタル技術の発展は目覚ましく、従来の経営者の知識や成功体験ではカバーできない領域が増えていることもCDOが求められている理由の一つでしょう。社外の有識者を“責任者”として迎え入れる、あるいは自社内でも“異色”もしくは“新分野への深い洞察”を持っている次世代人材を配置する、といったケースが増えているのです。
これから企業が生き残っていくには、常に計画を見直しアップデートしていくこと、デジタル分野特有のトライ&エラーのアプローチを行うことで意思決定スピードを高めることが必要です。その旗振り役として、CDOが求められているのです。

一般社団法人CDO Club Japan
理事 海外事業局長 広報官 鍋島 勢理氏
2015年青山学院大学卒業後、英国ロンドン大学University College London大学院にて地政学、エネルギー政策を学び、東京電力ホールディングスに入社。国際室にて都市計画、欧州の電力事情等の分析調査を担当後、外資コンサルティングファーム勤務。鍋島戦略研究所を設立。デジタル戦略をリードする国内外の人物やデジタルテクノロジーを取材し、テレビや記事、講演などで紹介。海外のビジネススクールと連携してデジタル人材教育プログラムを開発中。