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異なる文化を持つ企業は協業できるのか?アクセンチュア インタラクティブとIMJ、融合までの道のり

文化の異なる組織を融合させるポイントは?

――当時のことを振り返って、まずはIMJとの協業を決めた背景から教えてください。

黒川:IMJのM&Aの目的は、実行力を補完するためです。当時、私たちは実行力にまだまだ改善の余地を感じていました。そこで、強い実行力を持つIMJと、ものを考えてデザインするのが得意なアクセンチュア インタラクティブを統合することで、顧客をより広い面でサポートしたいと考えたのです。

――当初から、組織の融合はうまく進んでいたのでしょうか?

黒川:いえ、やはり文化が違うので、最初からうまくはいきません。たとえば、アクセンチュアは組織・部門を横断してプロジェクトベースで業務を行うのが前提でしたが、IMJは部門毎にそれぞれ独自の文化で動いていたので、働き方からして異なっていました。

 あと、意外とドレスコードの違いも響きます。男性であれば、当時、アクセンチュアではスーツが原則だったのですが、ラフな装いのクリエイターとスーツを着た人が同じ空間にいると、お互いに集中できないという声が現にありました。こうしたこともあって、アクセンチュア側のドレスコードを改定しました。IMJ側に寄せたということですね。

――アクセンチュア側に寄せようとはしなかったんですね。

黒川:IMJの統合にあたっては、統合の失敗・成功事例をかなり調査しました。その結果、成功させるためには協業先の文化を壊さないことが一番だという結論に至りました。私たちは、もちろん人数を増やすために協業したわけではありません。IMJの文化に投資をしたのです。アクセンチュアの力によって、IMJのクリエイティビティをより大きなアジェンダで発揮できるようにし、IMJの文化をより輝かせていきたい。そうなれば、お客様により高い価値を提供できると信じています。

統合のファーストステップはビジョンの共有

黒川:IMJの文化を尊重するため、最初の1年はあえてアクセンチュアから強く働きかけることはしませんでした。ただ、目指すべき共通のビジョンを繰り返し発信しました。そうしていると、IMJ側もそのビジョンに共感し、それを実現するためにアクセンチュアと一緒になる覚悟が徐々に決まってきて、自発的に提案するようにもなりました。社内のプロセス・経営基盤など統合しなければいけない点はありますが、一方でビジネスとしてやるべきことについては、親会社から一挙手一投足押し付けるのではなく、子会社の自発的な行動を促せるかどうかが成功のポイントかもしれません。結果、売上・利益ともに当初の計画を上回り、現在ではグローバルでも最も成功したケースと認識されています。

 ただ、本当に一体となってお客様にサービスを提供できるようになるまでは、5~6年のスパンで考えているので、3年目の今はちょうど折り返し地点。地盤が整ったので、これからさらにシナジーを生み出すべく動いていくところです。

両社が掲げるビジョンを実現するためのケイパビリティ

――その他、なにか具体的な取り組みはされていましたか。

黒川:IMJとアクセンチュア インタラクティブの同じ職種同士でコミュニティを形成するように促しました。職種が同じであれば通じるものがありますから、コミュニケーションは取りやすいですよね。

 あと、やはり一番効くのは、統合した意味と目的を一人ひとりに伝えていくこと。つまり、グループビジョンを設けて発信することですね。

 先ほども少し話しましたが、アクセンチュア インタラクティブとIMJの間で、共通のビジョンを策定しています。お客様の先にいる顧客の体験を豊かにすることで、日本の国力と日本企業を元気にしていくというミッションを掲げており、それを全部できるのは我々だけだと自負しています。

 私たちは広告やマーケティングなどの、手段にはこだわりません。エクスペリエンスの変革を通じて、企業のビジネスパフォーマンスを上げることを目的にしています。コンサルでもなければマーケターでもない、唯一無二のポジションです。

――ビジョンを社内に浸透させるコツはありますか?

黒川:繰り返し言うことに尽きます。2017年5月に両社のスローガンをプレスリリースで出しましたが、これは世の中に発信するというだけでなく、社内への共有、インナーマーケティングの目的もありました。

ビジョンを自分ごと化するために、自らに課す目標を各々が考える

 あとは、よりビジョンを自分ごと化してもらうために「『』を超えてゆけ。」を社内スローガンにしました。業界を変えるためには、我々もIMJも、一人ひとりが既存の枠を「超えていく」ことが必要です。その意識を浸透させるため、『』内は、自分自身が自らに課す目標をそれぞれ考えて、独自のスローガンを掲げています。このように、一人ひとりが自分ごと化できるよう地道な活動を続けています。

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新生アクセンチュア インタラクティブが提供する価値

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30034

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